対大分戦(09−04)。

ステップを1段階上がった時点での,新たなバランス。


 そのバランスに対して,手応えを感じられたのではないでしょうか。


 その手応えと同時に,課題も感じ取っているはずです。当然,ステップを上がりつつあるわけですから,チーム・ビルディング初期段階での感じ取り方とは違ってきているはずです。チームの狙う方向性を,「勝ち点3」奪取によって確認できる。第2節と同じく,シーズン序盤での最大の収穫ではないかな,と思うのです。


 まいど1日遅れ,でありますが,大分戦であります。


 今節は,戦術的に1つのステップを上がったかな,と思わせるところがありました。と同時に,と言いますか,ステップを上がったがゆえにクリアすべき問題があらためて見えてきたような印象もあります。今回は,このような方向性で書いていくことにします。


 まずは,収穫面であります。


 ごく大ざっぱに言うならば,まずは距離感でしょうか。攻撃を組み立てる段階での距離感です。


 戦術的なイメージがピッチになかなか描けずにいる段階では,ボールサイドへバランスが過度に傾いてしまっている印象がありました。ショートレンジ・パス,という方向性にだけ意識が行ってしまって,自分たちからグリッドを狭めてしまっているような印象を受けたのです。そのために,相手にオープンでの主導権を握られかねず,結果としてSBが仕掛けに関与するよりも,リスク・マネージメントという方向に意識を振り向けざるを得ない,という循環に陥りかけていたように感じます。


 対して今節は,決してボールサイドだけに意識が傾いてはいなかった,と受け取れました。


 ボールサイドに相手を引き付け,バランスを傾けたあとにオープンへ展開,オープンサイドでの主導権を掌握する,という意識がピッチに表現されたことで,SBを安定して機能させる,その基盤が整ったように感じられます。また,攻撃を循環させることのできる時間帯が多くなっていることも,戦術面での収穫でしょう。シーズン最初期では,チームとして狙っている攻撃が表現できる時間帯はごく限られていたように感じますが,その限られた時間帯にあって,攻撃を分厚く展開する,という形はなかなか作れなかったように思います。運動量が,ポジショニング・バランスと有機的に結び付いている,という段階に行き着かなかったような印象を持つわけです。


 対して今節は,まだ時間帯限定であることに変わりはありませんが,それでも攻撃をアタッキング・サードに近いエリアで循環させることができていました。そして,相手に脅威を与えるエリアで,決定的なトラバースを繰り出す,という形も見えてきた。


 守備意識がリトリートだけに引っ張られるのではなくて,高い位置でのボール奪取という方向でも機能しはじめたことで,守備ブロックを(あくまでも相対的に,ですが)高い位置に持っていくこともできますし,相手に提供する物理的なスペースも小さくすることができる。着実に,戦術的なイメージは緻密に描かれるようになってきている,と感じます。


 対して,課題ですが。


 ゲームのリズムという部分に求めるべきでしょうか。後半はどちらかと言えば,相手のリズムに乗ってしまったところがあるように思います。攻撃を緩やかなリズムから加速させる,という形ではなくて,カウンター・アタックを繰り出し合う,という形に乗ってしまった,と。また,攻撃面でもボックス付近までかなりイーブンなリズムで入ってしまった局面も意外にあったような印象です。


 攻撃でのリズムを切り替えるスイッチとして,仕掛けていく。誰が,ではなくて,誰もが仕掛けていっていいと思うし,その仕掛けに連動する形で「強度」が上がれば,フィニッシュでの鋭さも上がっていくように感じます。


 攻撃,守備両面においてリズムを操れるようになると,狙うフットボール・スタイル,その緻密さが数段階上がってくれるはずだと感じます。


 ・・・さて。ホームで2つめの「道標(勝ち点3)」であります。


 道標を増やすとともに,フットボール・スタイルが緻密さを増していけば。チームが,加速態勢に入れる時期も決して遠い話ではなくなってくるかも知れません。