M1なレーシングR1。
やはり,過渡特性でありましょう。
過渡特性によって,ドゥカティとの勝負権を得たのではないでしょうか。インライン勢は,どうしてもドゥカのエグゾーストを眺めていることが多かったわけですが,今季はドゥカにエグゾーストを見せ付けることができています。なかなか,面白い序盤戦ではないか,と思います。
フットボールを離れて,スーパーバイクな話をちょっとだけ。先日も紹介しました,ヤマハさんのレース・レポートをもとに,「勝負強い」ヤマハさんのことであります。
レースの流れは,ヤマハさんのレポートにお任せするとして,注目したのはレース1,そしてレース2を制したスピース,彼のレース運びです。
スタートでポジションを落としても,レース前半〜中盤にかかる段階で首位を奪い,そこから安定した走りを見せていた,ということを考えると,レーシングR1の熟成度は(シーズン序盤である,ということを考えれば)相当に高いと言えそうです。
そして,今季のレーシングR1に投入された,“クロスプレーン・クランク”がかなりの威力を発揮してもいるようで,YZR−M1の血統を感じさせるものです。
レーシング,というと,どうしてもピーク域のことを意識してしまいます。しまいますが,実際に必要なのはピックアップでの使いやすさであったり,スロットルの操作性,敏感に反応するという意味ではなくて,むしろいい意味での鈍感さではないかな,と。最高峰クラスでも,ピーク域に意識を傾けたエンジンではなく,コントローラビリティを(相対的に)重視したエンジンを持ち込んでいるわけですから,WSBでも同じような方向性で勝負をかけているのでしょう。
過渡特性にフォーカスしたエンジン,というのは操縦性重視の姿勢ですから,ハンドリングで評価を得てきたヤマハらしいところです。それはつまり,パワーでタイムを削るのではなくて,ハンドリングの柔軟性によって,コース全体からしっかりとタイムを削り取る,ということを意識している裏返しでしょう。
そして,M1とR1は同じ方向性を意識している,と。
M1で獲得できたデータが,R1へとしっかりフィードバックされる。そして,R1がレーシングな環境で,結果を出す。今季のヤマハは,相当にやりそうであります。