スナイパー感覚な守備意識に。

2008シーズンまでの3から,4へのシフト。


 そもそも実戦投入されたばかりのパッケージですから,シーズン序盤は“トラブルシューティング”と同時並行で戦術的なイメージを熟成させていくような形になるだろう,と感じます。


 本格的なチーム・ビルディング,その初期段階で実効性の高いトラブルシューティングを同時に進めることができる,という側面から考えれば(そして,あくまでも1/34である,ということを考えれば),課題が明確になったことは決して悪い話ではない,と感じます。


 そこで,今回は守備面の話を。


 タイトルに持ち出したのは,ラグビーな用語です。ではあるのですが,2009スペックの浦和にとっては,意外と収まりのいい用語であるような気がします。


 2008シーズンまでの仕掛け方から考えると,2009スペックは仕掛けに関与する枚数が増えることになるように感じます。となれば,仕掛けている局面でのチーム・バランスは前線方向へと傾くことになります。そのときに,ボール・コントロールを失ったら。


 2008シーズンまでの守備イメージで追い込んでいるだけでは,相手の仕掛けを効果的に減速させる,というわけにはいかないでしょうし,時間帯によっては守備ブロックが必ずしも相手を受け止められる態勢を整えられず,「崩される」というより「自分たちから崩れる」形で相手にスペースを提供することになりかねないように思います。


 であれば,です。


 3か4か,という違いはあるけれど,2004シーズン的なプレッシングを取り戻すことになるように感じます。ボール・コントロールを失った直後から,ボール・ホルダーへの積極的なアプローチを仕掛け,相手の攻撃をディレイさせる。そして,できるだけ早い段階(相手ゴールに近い位置)で数的優位を構築して,ボール・コントロールを奪い返す。そのボール・コントロールを奪い返す選手を,ラグビーではスナイパーと言いまして,ボール奪取への流れを“ジャッカル”などと表現します。ラックを構築される前段階で数的優位を構築して,ボールを奪うわけです。


 最終ラインを基準として考えるのではなくて,ボール・コントロールを失った位置,その位置からどれだけ早いタイミングでボール・コントロールを奪い返せるか。


 そんな守備意識への転換が求められているように,感じられます。であるならば,シーズン序盤としてはどれだけボール奪取位置を上げていけるか,であったり,ボール・コントロールを失ったタイミングから,再びボール・コントロールを取り戻すまでにどれだけのエリアを失うか(攻撃を組み立てはじめるポイントが,どれだけ押し戻されるのか),が自分たちのフットボールを表現できているかどうか,を感じ取るひとつのきっかけ,ではないかと思います。