対鹿島戦(09−01A)。

「現段階で想定し得る,ミス・トラブル」。


 戦術的に熟成されている相手だからこそ,明確になったものと思います。


 そして,チームに掛かった戦術的な負荷も,相当に高かったはずです。


 勝ち点だけを考えるならば,収穫は確かにゼロです。ゼロですが,33/34にポジティブな影響をもたらしてくれるはずのゼロだろうと思います。


 新たなフットボール・スタイルを組み上げていく,そのための課題を徹底的に洗い出すことができたのですから,意味ある1/34だと思いますし,そうしなければならないと思います。


 2009シーズン開幕戦,鹿島戦であります。


 あくまでも,1/34が消化された段階に過ぎませんから,ファイナル・スコアにこだわるような見方ではなくて,ちょっと違った見方をしてみようと思います。


 さて。ちょっとバスケットボールのような,同時にラグビーフットボールのような形で失点を喫したな,と思います。


 そして,その失点の形は浦和が


 「新たなフットボール・スタイル」


を構築しようとしている,その裏返しであるように思います。


 ごく大ざっぱに言えば,守備の第一歩であるボール奪取が違った形になるわけです。


 2008シーズンまでは,ボール奪取のポイントが(あくまでも相対的に,ですが)最終ラインに近い位置に設定されていました。であれば,ボール・コントロールを失った直後に,コントロールを「奪い返す」ようなディフェンスを仕掛けるのではなくて,コースを限定するようなアプローチを掛けていくようなイメージです。


 対して今季は,仕掛けの姿が大きく違っております。


 パス・コース,その選択肢を広げるために仕掛けに関与する枚数が増えています。必然的に,「前掛かり」のバランスに傾くことになります。このバランスで追い込むような守備は難しく,当然ながら失った直後から強度を強めたディフェンスを仕掛けていくことが求められます。


 トランジションが,いままでのタイミングではいささか遅い。


 ボールに対するアプローチを強める,そのエリアが高めに設定されなければ,守備的な安定性を維持できない形にシフトしたのですが,まだボールを奪うという戦術的なピクチャーは明確ではなかったようです。というよりも,実戦負荷が掛かっている状態ではピクチャーに曖昧さが出たと言うべきでしょうか。そのズレを突くようにして,相手はカウンター・アタックを繰り出した。


 このあたりは,確かにバスケットボールの速攻のようです。


 そして,ラグビーフットボールの用語を借りると,“エリア・マネージメント”に拙さを露呈したようにも感じます。現代的なラグビーでは,FB,あるいはCTBのポジショニングがずれることでキック・コントロールが難しくなり,相手に得点機を与えることになりかねない部分があります。このゲームでも,カウンターを受けた局面でのポジショニング・バランスは決していいとは言えなかったように感じます。


 ・・・現段階では,熟成度がファイナル・スコアに忠実に反映された,というべきかも知れません。


 知れませんが。


 方向性は,明確に示されているし,限定されたものとは言え,2009スペックのフットボール・スタイルを表現した時間帯も存在します。そのスタイルを,フィニッシュと結び付け,このゲームで明確になった課題を潰していくこと。このゲームでのレッスンは,2009シーズンに大きな意味を持ってくれるはずだと思います。