さあ、実戦投入。

ちょっと,屋号な表現をすれば。


 基本設計から見直して,フレームを作り直したレーシング・バイクです。といって,多くの構成要素はキャリー・オーヴァされています。
 そこで,今季からマシンを担当するエンジニア(フォルカーさんですな)は,まずすべての構成要素,その持っているポテンシャルを正確に把握するところから,セッティングをはじめたようです。


 そして,新設計のフレーム(4バックのパッケージ)を持ち込んだ。であれば,徹底的にデータを収集したいところでしょう。そこで,テスト・セッション(トレーニング・マッチ)を多く組んできた,と。そのセッション,かなり順調だったようです。
 実戦に限りなく近い環境を想定したテスト(つまりは,Kリーグ・クラブとの対戦ですね)や,基本的な機能チェックに主眼を置いたテスト(大学勢との対戦ですか)をセットすることで,初期段階での熟成を終えた,という感じでしょう。クルー・チーフであるフォルカーさんは,


 「負けること」


についてもテストしたかったようで(験担ぎとは言っていましたが),実際に1ゲーム敗戦を経験しています。


 恐らく,ですが。


 チームが浮き足立ったときに,戦術的な約束事がぶれてしまうのか。それとも,浮き足立とうとも踏みとどまれるのか。実戦を通じて確認したかった,というところではないでしょうか。


 さて,いよいよ実戦投入です。


 高い負荷が掛かった状態で,どれだけこのフレームが機能してくれるか。そんな部分を意識するならば,かなり熟成されているフレーム(4−4−2ボックス)を操る相手は,ある意味で絶好なのかも知れません。4に対して4を徹底的に機能させることで,ある種の化学変化が起きてくれれば,シーズンを闘っていくための熟成はより進んでくれるのではないか,と期待してもいるのです。
 そして,このフレームに魂を吹き込むのは,敵将も指摘した「ファイトする」という要素でしょう。トレーニング・マッチを経て,緩やかに戦術理解を高めてきたチームが,本格的に組織を機能させる,その鍵を握る要素とも言えるでしょうか。


 今季を戦う主戦パッケージは4−4−2か,それとも4−2−3−1か。


 いずれにせよ,2005シーズンからしばらく,伏流水のようだった“コレクティブなフットボール”,あるいはフレームを明確に意識するフットボールという要素が,いよいよ流れとして見えてくるような,そんな印象を持ちます。