サンゴリアス対早稲田大学戦(08〜09ラグビー日本選手権・2回戦)。

日本選手権に,大学チームが登場する。


 しかも,対抗戦の強豪です。


 であれば,第1試合が終了すると同時に,ひとの流れがはじまるものですが。意外なことに,なのか,それとも相手を冷静に考えてなのか,ひとの流れが大きくなるようなことはなかったような印象です。


 ほぼ1週間遅れ,でございます。遅筆堂の面目躍如,なタイミングですので,簡単なメモ程度に書いておくことにします。


 さて,早稲田の印象からはじめますに。


 端的に。サンゴリアス・レベルのチームでは,「足らざる要素」が目立ちましたね。
 ひとりひとりのディフェンス強度が,やはりサンゴリアス・レベルでは不足しています。そのために,サンゴリアスの攻撃を抑え込むのに時間がかかってしまうし,人数をかけなくてはならないように受け取れました。
 となると,ディフェンス・ラインがやはり,短くなってくるわけです。
 ポイントに近い位置には,何とかラインを敷くことができます。でも,タッチに近いエリアにはノーマークな選手を残してしまうことになります。ボールを大きく展開されてしまえば,追いかけることも難しい守備応対を強いられることになる。
 それだけではありません。ブレイクダウンで,ボールをなかなかコントロールできていませんでした。マイボールのコントロールを継続する,という観点からも弱さがありましたし,相手ボールを奪う,という側面からのコントロールもなかなかできなかった。トライにつながる仕掛けが,インターセプトからのカウンター・ラグビーであったというのは,裏返して言うならばブレイクダウンでボールをコントロールする時間帯があまりに少なかった,ということの裏返しだったようにも感じます。


 さて,実質的な準決勝であったサンゴリアスであります。


 ごく大ざっぱに。思ったよりも,良くなかったかも知れません。
 立ち上がりから,しっかりとリズムを掌握するなど,実力差を忠実にスコアへと反映させることはできていたと思います。
 また,接点での鋭さ,激しさにおいて,しっかりと早稲田を上回ったこと。ある意味,当然のことではあるのですが,相手のモチベーションを受け止めてしまえばリズムを手放しかねないカップ戦では,その当然のことが大きな意味を持つのも確かです。格下に対して,仕掛けを受け止めてから,などという意識ではなく,受け止める以前にアクティブに仕掛けていく姿勢を徹底することで,早い段階でゲームの流れを決めたことができたのではないかな,と感じます。


 感じますが。


 このゲームでは,細かい部分でのミスであったり,ファウルが気になりました。早稲田相手,というやりづらさがあったのかも知れませんが,意外に「緻密さ」が感じにくい,やや大味なゲームだったように思うのです。
 さらに,準決勝というステップ・ボードを経由することなく決勝戦へと駒を進めることになります。ゲーム間隔がいささか開いてしまうことになるのですが,そのインターバルが彼らにとって有利に働くかどうか。


 ・・・あくまでも,個人的な印象ですが。


 サンゴリアスとして,「中途半端に」自分たちのゲーム・プランを表現し,プランを抑え込んでしまったゲームなのかも知れません。このチームの指揮官が言う,「ストーリー」,つまりはシッカリと構築されたゲーム・プランから外れることがなければ,彼らは本来持っているパフォーマンスを引き出せる。
 けれど,何らかの要因によってストーリーが中途半端なものになってしまえば,リズムを崩しかねない。
 サンゴリアスにしてみれば,どれだけプランを実行できるか。相手にしてみれば,どの程度サンゴリアスのストーリーを突き崩せるか。主導権争いは,そんな要素に収斂されるのではないかな,と思ったりします。