短いなり、の前提は。

“On the Pitch”な話と,“Off the Pitch”な話が絡み合ってしまった。


 そのために,問題がより難しくなってしまった。準備段階での問題が,シーズンへと反映してしまったような印象を持ちます。


 今季は,時間的な問題はありません。しっかりと基礎を整備して,さらに戦術的な構造体を組み立てるための時間が取れます。その時間が,圧縮されたとしたら。


 その仮定論,私としても興味あるところです。ということで,今回は清尾さんのコラム(Weps うち明け話)をもとに。


 興味を引かれたのは,追記部分です。


 確かに,清尾さんが指摘するような状態でした。


 07シーズンは,相当に負荷の高いものだったと思います。であれば,シッカリとした休養を取ってもらう必要性もありました。


 ここまでは,「理詰め」な話です。問題はここから。


 “On”方面では,戦術的な確認,調整が意識されたか。“Off”方面で言うならば,コーチング・スタッフの戦術イメージに沿った戦力補強だったのかどうか。


 残念ながら,これらの要素を満たしていたとは思えません。


 戦力補強という方向からファースト・チームを眺めれば,最終ラインへとボールを落とし込む,というよりは中盤にチームのウェイトを持っていくこと,高い位置からのプレッシングからシンプルなパス・ワークでチームを加速させる,なんて戦い方がイメージできそうでした。でも実際には,(指揮官交代,という要素もありますが)戦力的な変化が戦い方に反映されることはなくて,「ひと」が変わっただけというような印象です。


 ただ実際にはここが大きな問題で,浦和の戦術は「ひと(個)」によって表現される部分が大きかったのも確かです。


 同じパッケージでも,表現されるフットボールまで同じというわけにはいかない。少なくとも,08シーズンを戦うパッケージに合わせて戦い方を調整する必要はあったはずです。


 となると,短いなりに,なトレーニングは組みにくいかも知れません。戦術的にはイメージをすり合わせる必要があるし,フィジカルも追い込んでいかないといけない。そして,競争環境を維持することも大事です。それらが中途半端になってしまったことで,シーズンを戦いきるための要素がいくつかトレード・オフされてしまったのかも知れません。


 結果として,理詰めな前提なのに,あまり論理的ではない結論が導かれてしまった。このズレを,シーズンを通して引きずってしまったように見えます。


 2009シーズンは,「時間的な制約」なしにトレーニング・スケジュールを組むことができています。徹頭徹尾,理詰めに持っていくことができます。


 フィジカルという基礎を固めているのが,現段階でしょう。そして,09シーズン以降につながっていく,「戦術的な構造体」をつくっていくのがこれからのトレーニングでしょう。清尾さんのコラムを読むと,フィジカルとともに競争環境がシッカリとつくられていることが感じられます。ここで,戦術理解を徹底できれば,「短いなり」のトレーニング・スケジュール、その前提も見えてくるのではないかな,と思うのです。それだけに,楽しみでもあります。