ディシプリンと交通整理。

「ぶら下がり」,あるいは「夜討ち朝駆け」。


 さすがに,スポーツ・メディアさんが夜討ちだったり朝駆けを仕掛けるとは思いにくいのですが,あり得ない話ではありません。


 独自の情報をつかみたい,となれば,他社に先んじたい。そう思うのは,当然のことだとは思います。


 思いますが,クラブサイドから見れば「明確なデメリット」として作用するケースも少なくありません。


 「・・・筋」などという,何らかの意図を持ったリークなどを徹底的にコントロールするためには,何が必要なのか。現任指揮官は,基礎的な部分からクラブを変えていく意図を持っているし,クラブも指揮官の意図に積極的に応えようとしているようです。ということで,今回は浦和からのリリースをもとに。


 フォルカーさんになって大きく変わったこと。


 オフィシャルの更新頻度がかなり上がったこと,でしょう。しかも,詳細にわたるコメントが掲載されるようになっています。そこには,「解釈」が介在する余地はありません。


 指揮官が何を意図し,どのような方向性を持ってチーム・ビルディングをしようとしているのか。そんな部分を,クラブが主体的にアナウンスするようになった,と見ることができます。また,取材姿勢に対してフォルカーさんは「ぶら下がり」での取材ではなく,しっかりとしたブリーフィングを意識していることが,就任当初の「所信表明」だったでしょうか,明確にコメントされていたように思います。


 そして,今回のリリースでは選手に対してもしっかりとしたブリーフィングでの取材を受け付けるものの,ぶら下がりでコメントを取りに行く,という取材方法に関してはコントロールする,という方向性を打ち出しています。


 07シーズンからの状態を冷静に見れば,「ごく当然」です。


 ディシプリン,という言葉が果たしてチームにあるのか。


 そんな基礎的な疑問が浮かぶほどに,メディアへのリークが目立ちました。昨季だけの話ではありません。もちろん,そのリークには傾聴すべきものもあったと思いますが,それはメディアを経由させる性質のものではなく,チーム内部で徹底的に議論するなりすることを通じて解決されるべき問題のはずです。より大きな問題は,チームやクラブにリークを許すような空気があったこと,そしてメンタル・マネージメントが機能しないような状態だったこと,でしょう。


 こちらの記事が指摘するような,“ブランド低下”があるとしたら,チームを貫いているべき“ディシプリン”がまったくと言っていいほど機能せず,チーム内で機能していなければならない「競争」が機能不全に陥っている,という前提があるはずです。


 そして,そんな状態からの脱却を目指し,フォルカーさんに指揮権を委ねたはずです。


 ファースト・チームに,そしてクラブに明確な「筋」を通す。そのためには,徹底的に交通整理をする。「どこか問題でも?」と,申し上げたい。


 クラブの経営状況への心配をしてくれるほど,浦和に興味を持っていただけるのであれば,ぜひともマッチデイ後のプレス・カンファレンスではインパクトのある戦術的な質問を繰り出していただきたい,と思っております。そのために,しっかりと“football”を見つめていただきたいものだ,と思います。