狙い澄ました仕掛け(全日本実業団駅伝)。

まずは,ちょっと口上など。


 あけましておめでとうございます。店主のErnestでございます。
 いささか文面の長いエントリが多いところで,大したものはお出しできないのですが,ごひいきいただきまして,感謝の限りであります。
 新たにお越しいただけるひとも,すでにお越しいただけている方も。2009年もごひいきのほど,お願い申し上げます。


 さて。2009年版のファースト・エントリですが。


 天皇杯,ではなくて,全日本実業団駅伝のことをちょっと短めに。


 100kmを戦って,第2位との時間差がわずか1秒と計時される。鍔競り合いが続いていたことを,端的に示す数字ではないか,と感じます。
 この勝負はどこか,ツールであったりジーロのような印象を与えるものでもありました。


 牽制,という側面もあるかも知れません。
 強烈なアゲインストを受けながら,同時にライバルを振り切るために仕掛けていく。そのリスクをどこで引き受けるか,というタイミングを狙っている間に,県庁への導入路でもある並木道にまで達してしまった,と。
 ただ,仕掛けた側から見れば,「待っていた」という見方もできるでしょうか。富士通は,前方でレースを引っ張っている旭化成,そして日清食品を「衝立」に使いながら,仕掛けるタイミングを冷静に狙っていたのではないか,と。そして,前方を走る彼らは,仕掛けるでもなく揺さぶるでもなく。弓を引き絞ったままの状態で,並木道まで達してしまったようにも見えるのです。


 もう,引き絞ったままではいられない。


 待ちに待って,タイミングを狙い澄まして飛び出していったというようにも見えます。実際,富士通の仕掛けを受け止めるだけのパワーを旭化成,そして日清食品は残していなかったようにも感じます。鋭くギアを入れ替え,加速を引き出した富士通に対して,緩やかな加速を引き出すにとどまってしまった旭化成に,日清食品。仕掛けを受ける直前,そのポジショニングにもどこか,勝負の伏線は張られていたように感じるのです。


 それにしても。想定外のレース展開だったように思います。


 優勝候補として意識されていたコニカミノルタ,そして中国電力が勝負権を維持したままに後半へと入っていくかと思えば,それほどではなかったし,ホンダも伊勢崎〜太田間でリズムを崩してしまった影響を埋めきれなかった。
 このレースだけで,勢力地図を描くのは難しいかも知れません。知れませんが,少なくとも強豪との距離を縮めてきたチームが複数存在している,とは言えるはずです。


 天皇杯も含めて,勝負を決定付ける要素は最終盤に用意されていた。不思議な一致だな,と思ったりします。