Intercontinental Cup (FCWC2008・Final).

あえて,古い名称を引っ張り出してみましたが。


 やっぱり,しっくりくるような印象があります。


 欧州,そして南米への挑戦,という側面がある準決勝。この段階までは,確かにカップ戦らしさを感じもします。ですが,準決勝にセットされている壁は相当に堅牢なものでもあるように感じます。


 ビッグイヤー・ホルダーは鋭い牙を巧妙に隠しながらオープン・ゲームを戦い,コパ・リベルタドーレス・ホルダーは徹底したリアリズムで,挑戦を退けた。


 そして,「かつての図式」は今季も維持された。


 伝統の持つ重み,なのかも知れないし,歴史の差かも知れません。ただ,こういう「特殊なカップ戦」があるからこそ,距離感を感じ取ることができるとも思います。


 ということで,FCWC決勝戦であります。と言いますか,インターコンチネンタル・カップであります。


 イングランドびいきへのきっかけ,そのひとつになったクラブがユナイテッドでもありますれば,どうしてもユナイテッド目線になってしまいますが,ご容赦を。


 さて。準決勝での印象はそのまま,決勝戦のゲーム・プランに重なる部分があったように思います。


 攻撃面を基盤とするユナイテッドに,徹底した守備応対によってリズムを構築するLDUキト。ゲームを大ざっぱに2分割して言うならば,前半は攻撃面で主導権を掌握しようとするマンUがポゼッションなどのスタッツでリガ・デ・キトを圧倒する一方で,キトはその攻撃を巧みに抑え込むことで,むしろユナイテッドの心理に揺さぶりを掛けているように感じました。


 スタッツから感じる印象以上に,キトにコントロールされている。


 そんな印象を,ともすればユナイテッドは持っていたかも知れません。さらに,後半立ち上がりの49分,ユナイテッドは数的不利に陥ります。コパ・リベルタドーレス・ホルダーにカップを奪われるとすれば,ワンチャンスを沈められること。そういう図式に嵌ってしまうかも,などと思った時間帯でありましたが,実際にはユナイテッドのチーム・ハンドリングの巧みさが見えた時間帯でもあったように思います。


 数的不利を的確にカバーしながら,同時に攻撃面での圧力低下を最低限に抑え込む。そして,先制点(決勝点)を奪取する。


 徹底されたリアリズムを,突き破った瞬間でもありました。そしてユナイテッドが,99年以来の戴冠であります。


 99年当時を思い出してみると,まだユナイテッドは「古き佳き時代」の香りを漂わせるチーム構成だったように思います。アカデミーからトップへと引き上げられた選手たちがチームの基盤として機能していて,あくまでも外国籍選手はアクセント(とは言え,重要な意味を持つアクセントですが)として機能していました。


 対して今季のチームは,基盤からして多国籍で構成されています。現代的な欧州基準,そのど真ん中にあるチームとも言えるでしょうか。個人的には,必ずしも好ましい変化だとは思わない部分もあるのですが,チームの完成度としては99年を凌駕している部分が確かにあると思いますし,90年代後半の“ゴールデン・エイジ”を上回る,その可能性を秘めたパッケージでもあるように思います。