FCWC2008(M2)。

やはり,「カップ戦」ですね。


 それぞれのフットボール・スタイルは確かに感じられます。ただ,それだけでは不足している部分もあるように思えます。


 「勝ち切る」ための戦略であったり,結果を引き出すためのアプローチであったり。リアリスティックな部分をしっかりと持っていないと,先に進むことはできない。


 本来持っているスタイルと,リアリスティックな姿勢と。そのバランスを巧みにとり続けることのできたクラブが,準決勝へと駒を進めた。


 そんな印象を持ちます。FCWCであります。コパ・リベルタドーレスを制したリガ・デ・キトとの対戦権を確保するためのゲーム,であります。でありますれば,ごくカンタンに。


 まずは,アルアハリであります。


 ごく大ざっぱにゲームを分割して考えますに。


 前半45分間のリズムは,決して悪いものではありませんでした。ただ,その45分間を通して,相手は微調整をかけるべきポイントを絞り込み,ハーフタイムを挟んで調整をかけてきました。対して,アルアハリは有効な対策を取らなかったように映ります。


 アルアハリは,フルコート・カウンターを意識したゲーム・プランを持っていたようです。となれば,ボール奪取位置は(あくまでも相対的に,ですけど)低めの位置になります。その想定しているポイントで,しっかりとボール・コントロールを奪えませんでした。パス・ワークに振り回される時間帯が後半になると明確に増えてきた。


 リズムを掌握される時間帯が増えてしまっては,結果を呼び込むのはさすがに難しい。早い時間帯で「得点を奪う」ためのイメージはしっかりと確立されていたようには思いますが,「勝ち切る」ためのイメージはちょっと曖昧さを残したものだったようにも感じます。


 対して,パチューカです。


 前半45分間だけを見れば,かなりのディスアドバンテージを背負ったように見えます。ですが,仕掛けという部分を考えるならば,決してアルアハリにそのままリズムを持っていかれるようなパフォーマンスではない,とも見えます。ただ,フィニッシュにその仕掛けが結び付いていかない。


 攻撃を組み立てるという部分とフィニッシュ,そのつながりの悪さに調整がかかったのが,ハーフタイムでしょう。恐らくは,フィニッシュからの逆算をチームに強く意識させるような,戦術交代を仕掛けることで,チームの描くべきイメージをリアリスティックな方向へと傾けた。実際,ビハインドを跳ね返したのはセットピースを起点とする仕掛けでしたから,スタイルとリアルのバランスがハーフタイムを通じて改善された,と見るべきでしょうか。


 そして,延長戦に入ると引き戻したリズムをしっかりと確保する。相手が有効な調整策を取れなかったことも作用しているとは思いますが,パフォーマンスの差が明確に得点差として出てきた,と感じるところがあります。


 ・・・ある意味,アデレードと同じ形ですけれど。


 短期決戦のカップ戦では,リアルとスタイルのバランスは必須項目であるように映ります。パチューカは,パス・ワークというスタイルに意識を強く傾けていただろう前半には,リズムをアルアハリに奪われていました。そのバランスをリアル方向へと調整してくると,結果としてリズムを取り戻し,自分たちのスタイルでリズムを刻めるようになる。


 リガ・デ・キトを相手に,同じような形を作れるかどうか。パチューカにとっては,結果も確かに重要でしょうが,「形」をどれだけ明確に表現できるか,そのためにリアルさを失わずに戦えるか,という部分も重要であるように感じます。