ミッドフィールドのゲーム・プラン。

ちょっと,2004シーズンのことを持ち出してみます。


 今季最終節の相手とは,“LEAGUE CHAMPIONS”の称号をかけたホーム・アンド・アウェイを戦っていたわけです。


 当時,対戦相手を率いていた指揮官は,自分たちのストロング・ポイントを前面に押し出すというアプローチだけを採用するのではなく,同時に相手のストロング・ポイントを効果的に消し去るという方向性を狙ったように思います。そのときの鍵になったのは,


 “中盤でのプレッシングをいかにして回避する(無力化する)か”


という要素だったように思うのです。


 2004シーズン後期,浦和が展開していたフットボールは“ハーフコート・カウンター”であります。チーム全体がコンパクトに維持され,ボール奪取位置は最終ラインではなくて,もっと前方に位置しています。ボール・コントロールを失えば,前線からも積極的にチェイシングを仕掛け,ボール・ホルダーへのプレッシャーを積極的に掛け与えます。そして,中盤でボール・コントロールを回復すると,シンプルに縦へと展開していく。


 そのリズムをつくらせないためには,中盤でのボール争奪戦に真正面から向き合わないこと。相当にリアリスティックなゲーム・プランを描いていたように記憶しているわけです。


 さて。いまの横浜FM,その戦い方を冷静に見てみれば。


 どこか,かつての浦和の姿に重なる部分があるように思うのです。確かに,「堅守」という言葉を出したくはなるけれど,その堅守は最終ラインを基準とする堅守ではなくて,ミッドフィールドが積極的に守備面に関わっていく堅守,と考えるべきだろう,と思うのです。


 そして,パッケージもどこか,類似点があります。


 2004シーズン当時の浦和は3−5−2(3−4−1−2),対していまの横浜FMは3−6−1(3−4−2−1)。攻撃ユニットが距離感を保ちながら流動性を作り出す,となれば,実質的なパッケージはそれほどの変化がない,と言えましょうか。彼らが主導権を掌握しながらゲームを進めているときには,しっかりとした中盤でのディフェンスが機能しているし,そこからの仕掛けにはシンプルさがあります。


 その仕掛けを回避するためには,何が求められるか。真正面から中盤勝負をするのも一策ですが,それよりも「縦」にシンプルな仕掛けを狙うことも求められるように感じます。


 ポゼッションからの仕掛け,と言えば言えるけれど,いささか中途半端に感じられる。さりとて,カウンターを仕掛けるにもなかなかチームが加速しない。チームとして,狙う戦い方が絞り込めなかったことが今季を象徴しているようですが,最終節はそれでは恐らく「勝ち点3」を奪うことができない。


 どれだけ明確に,中盤での戦い方を描けるか。そういう部分からも,注目すべきゲームであるように思います。