対G大阪戦(08−33A)。

シーズン最終盤にして,テスト・セッションでありましょうか。


 それにしては,フレームを大幅変更しているようです。フレームの根幹にまで変更を加えてしまえば,どのように変更の効果が出たのか,分かりづらくなると思うのですが,指揮官は分かったところで来季へのフィード・バックは求められていません。


 戻るべき場所もなく,テストと疑われるほどにフレームを変更し続けて。しかも,テストに「来季につながる」という意味もない。


 この状態で,フットボールという競技が戦えるほどに甘くはないと思います。つまりは,当然の結論を突き付けられただけ,ということになるでしょう。


 G大阪戦であります。いつものように1日遅れであります。


 やっぱり,ボールを奪う位置が気になりますし,“ポジション・フットボール”が「動かない(心理的な要素が作用して,動けないのかも知れませんが)」,それゆえに相手に対する脅威に結び付かない,というのがクリアできない課題として残ったように思います。


 このゲームでのパッケージ。


 4−3−3(4−2−1−3)と言いますか,4−5−1(4−2−3−1)と言いますか。このパッケージを実質的に機能させようと思うならば,中盤の機能性をどう引き上げるか,が重要なファクタになるはずです。ウィンガーとSBがダブル・アウトサイドを構成して,縦方向での流動性を作り出す。同時に,センター・ハーフがバランスを意識しながらポジションを変化させていく。


 スピードを武器とするタレントが,ウィンガーに入っていましたが,彼らが生きるためには後方に控えているSBを巧みに引き出していく時間帯も必要ですし,SBが高い位置で守備を仕掛けられるように,プレッシングを掛けていくことも大事です。攻撃だけを意識していればいいポジション,というわけではありません。


 中盤の動き方が,3のときとはかなり違ってくるわけです。ですけれど,3のときとほとんど動きが変わらない。より厳しく言えば,3のときよりも追い込み方が中途半端です。ボールを獲れるような追い込み方ではあり得ないし,ボール・ホルダーに対してパス・コースを切っていくような絞り込み方をしているでもない。


 となれば,仕掛けを組み立て始める位置が低くなってしまいます。


 そこに,縦方向での流動性が失われているわけですから,距離感が悪い状態での仕掛けになりかねず,結果として手詰まりになる局面が増えてしまうことになります。となると,ボール・コントロールを失わないためにボールを戻す局面も増えてしまうことになって,「怖くないポゼッション」という形に落ち込んでしまう,と。


 ・・・というようなことをここ数節,書き続けているように思うのですけども。


 約束事を落とし込むことなしに,パッケージだけをいじっても,機能はしないはずです。


 緩やかに,チームのスタイルが速攻型から遅攻型へと変化してきています。相手守備ブロックを振り切るためのアプローチが,スピードを主戦兵器とするものから違ったものになりつつあるわけです。ならば,“コンビネーション”の重要性はさらに高まっていると言ってもいいはずですし,そのコンビネーションを引き出すためには距離感があまりにワイドになり過ぎていてはいけない。


 そんな求められる要素と,実際にピッチに表現されている要素とに,大きなズレが生じてしまっている。そのズレを埋めるのは本来,戦術的な約束事なのでしょうが,その約束事は構築されているとは言いがたい。周囲の雑音と言うけれど,選手に不要な負荷を掛け,ひとつひとつのプレーをつなぎ合わせるために「考える時間」を作り出してしまっているのはダッグアウトだと思うのです。


 思考停止に陥っているダッグアウト。にもかかわらず,“Care-taker”も置けないクラブ・フロント。


 それだけでも,今季浦和が置かれた状況の厳しさが感じられるように思うのです。