対カタール戦(アウェイ・最終予選)。

アウェイで「勝ち点3」。


 最終予選で主導権を握っているオーストラリア,彼らとの距離を縮め,そしてプレッシャーを掛けていくためにも意味を持つ,と思います。


 でありますが,アウェイで展開されたフットボールはどこか,落ち着くべきところを見つけたようにも思えます。


 カタール戦であります。


 まいどのことでありますが,1日遅れであります。でありますれば,短めの方向で(と言いつつ,長くなりますけども)。


 前任指揮官からチームを引き継いだとき,現任指揮官はフットボール・スタイルでの継続性を否定するようなコメントを残していたように記憶しています。その代わりに持ち出したのが,大西鐵之佑さんの言葉。アシスタント・コーチに大木さんを指名したことからも,スモール・フィールドでのボール奪取,そこからの速攻を意識したフットボール・スタイルを指向したように思います。


 思いますが。言葉であったり,フットボール・スタイルの概念だけが先走ってしまって,どうも実際にピッチで展開されるフットボールが落ち着かない状態だったようにも思うのです。


 前任指揮官時代に培われたアイディアが,巧く取り込めていない。そんな印象が,このゲームではちょっと違ってきたように思うのです。


 仕掛けの連動性が,やっと高まってきたような印象を持つわけです。


 先制点奪取の局面では,相手守備ブロックの裏を突くフリー・ランが決定的な要素となったわけですが,ボール・ホルダーだけが積極的に仕掛けていたのではなくて,複数の選手が仕掛けに連動した動きを見せていたから,守備ブロックの綻びを的確に,効果的に突くパスを繰り出すことができた,と感じます。


 また,中盤の機能性で言えば“アンカー”と言うよりは“セントラル・ハーフ”という表現が当てはまるような形をこのゲームでは見ることができたように思います。守備面に大きくウェイトを傾けた“ディフェンシブ・ハーフ”,あるいは“アンカー”ですと,4を運用しているとしても,実質的には3をトライアングルで運用しているとも言えます。その意識を攻撃面にも傾け,守備的な安定性という部分ではリスク・テイクをする。同時にしっかりとした守備意識によって,“3から2”に伴うリスク・コントロールにも意識を払う。


 恐らく,前任指揮官も緩やかに中盤の機能性を引き上げていくつもりだったのではないか(=啓太選手に対する要求は,期待の裏返しではなかったか),と思うだけに,このゲームでの中盤はどこか,前任指揮官のエッセンスを感じるところでもありました。


 ボール奪取位置が違っていようと,仕掛けの形に変化があろうと。


 積極的にボールを引き出す動きを,複数の選手が仕掛けることで選択肢を広げる。積極的にボールへアプローチを仕掛けることで,組織守備を安定させる。


 エッセンスに違いはないはずで,引き継がれるべき要素はあったはずです。その落としどころとして,カタールでのフットボールを見てもいいかも知れない,と思うのです。やっと,不要に振れ幅の大きかった振り子が安定したリズムを刻みはじめる,そのきっかけにはなるのではないか,と思います。