対シリア戦(KCC2008)。

確かに,テストですけれども。


 「試しすぎてませんか?」と,思ったりもします。


 積極的に崩すべき要素と,崩してはいけない要素と。その2つの要素が混在してしまっている,というのが共通してしまっているように思います。


 ということで,シリア戦です。


 あくまでも,本題はこのあとに控えている“Qualifiers”ですので,結果ベースの話は置くとしましょう。インターナショナル・フレンドリーでもありますし,通常よりも短めで。


 前半のパッケージ。なかなかにいいのではなかろうかな,と。


 4−3−3と言いますか,4−2−3−1と表現しましょうか。ただ,実質的な表現をするならば,4−3−3,その中盤は相手ゴールを底辺としているトライアングルを構成している時間帯が多かったように思いますね。で,CBとセントラル・ハーフ(このケースではアンカー,と呼ぶべきでしょうか)のバランス,ホントはこの部分のテストをしたかったと思うのですが,思ったほどに負荷が掛からなかったな,という印象です。それだけ,高い位置からのボール奪取が仕掛けられていたということなのですが,シビアな試合を想定したテストとしては,もうちょっと最終ラインに負荷が掛かっている状態も見たかったのではないか,と思います。


 仕掛けの方向ですが。


 縦方向の機動性は,意外に確保できていたな,と思いますね。さらに言うならば,横方向の流動性も。


 そして,仕掛ける姿勢が立ち上がりから見られたのは大きい。丁寧に崩すという方向に傾きがちなゲームが多かったのですが,このゲームでは積極的に仕掛けていく,という姿勢が見えていたように思います。


 それだけに,であります。


 どう,前半のリズムを崩すことなくテスト項目をこなすか,が期待されたのですけど,戦術交代に伴って戦術的なフレームまでが変更を受けてしまったように感じられて,チームとしての継続性が失われてしまったように感じる部分があります。ハーフタイムを挟んで,別のパッケージを試すというならば話は別ですが,前半のパッケージをどう維持しながら,ゲームをコントロールするか,という方向で戦術交代を仕掛けた方が,イロイロな意味でテストになったのでは?と思ってしまうのです。


 前半の機動性を確保したままに90分プラスを乗り切る,というのはいささか難しいと思っています。ボール奪取位置がかなり高く設定されていますから,機動性は相当に高く要求されるはず。それだけに,14人を“ユニット”として意識して,さらにどういう形でゲームをクローズしていくかを考えておく必要もあるかな,と思うのです。そのときに,戦術的なフレームに加える変更が,このゲームでの変更ほどに大きい必要はあるのかな,と思ったわけです。


 もちろん,投入した選手数が多いというつもりはなく,モチベーション・コントロールという側面も当然否定できません。また,実戦を通じてコンセプトを「感じてもらう」ことも大事です。ただ,それならば戦術的なパッケージに対する影響を抑える順番,というのもあり得る話でしょう。そんな部分にまでの意識があったかな,と。


 このゲームで,14人のユニットは見えたでしょうか。


 残念ながら,緩やかにゲームをスロー・ダウンさせ,相手にリズムを譲り渡すことなくクローズする,という部分までを表現することはできませんでした。最終ラインに対する実戦負荷,という部分はどうしても相手のコンディションに左右されますから,仕方ない部分もあります。ありますが,ゲーム・マネージメントは100%ゲーム・プランとして構築できる話です。この点,いささかもったいなかったな,と思うのです。