フィンケをめぐる仮定論。

あくまでも,仮定論。


 仮定論ですが,なかなかに面白い材料ではないかな,と思います。


 どちらかと言えば,“マーケティング”方向でのメリットばかりが意識されているのではないか,と思っていたバイエルン・ミュンヘンとの関係ですが,“On the Pitch”方向でのメリット,になるかも知れない話です。この記事に先行した「飛ばし」(現段階では,ですけど)では,バイエルン・ミュンヘンがリストを提示したようなことを書いてありましたが,どんなリストだったのかも興味があります。


 ・・・とは言え,間違いなく表には出せない(メディアとは言え,突っ込めない)リストだと思いますがね。


 イロイロとかましてくれている,日刊スポーツさんの記事をもとに,ちょっとフォルカー・フィンケさんをめぐる仮定論をしてみようか,と思います。


 “Head Coach”ではなくて,“Manager”なひと。 


 そんな印象を持ちます。ジャーマンなのですが,ブリティッシュな香りがすると言いますか。
 フライブルクでの在任期間も,考えてみればサー・アレックスやアーセンと比肩するほどに長いものがあります。それだけに,戦術的な部分だけでなく,戦力補強や下部組織などの環境整備など,戦略的な要素にも必然的に関わっていた,と。


 翻って,浦和であります。


 個人的には,目標とすべきは1990年代あたりのマンチェスター・ユナイテッドではないかな,と思っています。
 戦力補強の必要性を否定はしない。同時に,強固な下部組織からしっかりと戦力を供給できる状態を維持する。あの時のアシスタント・コーチは,アカデミーを担当していたブライアン・キッド。そういう流れができるといい,と思うわけですね。
 となれば,(大枠において,という程度でも)下部組織とファースト・チームの描いている戦術イメージは相似形を描いていてほしいものです。長期的にファースト・チームを預けるつもりであるならば,クラブとしてのピクチャーを描いてきた人物を,というのは悪くない話でしょう。


 と同時に。


 各方面をあたってみると、伝統的なジャーマン・フットボールを狙うタイプではないようです。その印象を言うならば,04スペック(後期型)をさらに洗練させたようなフットボールを意識しているようです。こちらに関しては,ガンナーズを率いているアーセン的でもあり,ジャーマンと言うよりはテクニカルな東欧テイスト,かも知れません。
 04シーズンは,積極的なプレッシングを攻撃面へと結び付けていましたが,守備面では積極的にラインを操っているような印象は強くはありませんでした。また,仕掛けという部分では,“スペシャル”な存在がいた影響もありますが,チーム全体としての機動性で相手を崩すとまでは言いきれないものがありました。プレッシングを回避され,ロングレンジ・パスを繰り出されてしまうと,仕掛けを減速させるきっかけを失ってしまうことになり,相手の仕掛けの後手を踏みかねない。そんな,04スペックが持っていたウィーク・ポイントを潰していく,という方向性で読み取ることもできそうだな,と感じます。


 さて。どんな形になるのか,それともならないのか。

 少なくとも,「摩耗した」チーム戦術を再び構築する時期に重なっているのは間違いないところでしょう。同時に,戦力的な循環を着実に進めていくべき時期にも差し掛かっています。クラブとしての「ブレない方針」が求められる時期に,面白い人物の名前が浮上してきたものだ,と思います。