対札幌戦(08−31A)。

どこかで見たようなパッケージ。


 高円宮杯で,ユースが主戦としていたパッケージであります。


 ただし。中盤の構成が微妙に違う。ユースだと,CBとアンカーでトライアングルをつくる,つまりは中盤が1−2という形になりますが,トップですとCBとディフェンシブ・ハーフでボックスをつくる,中盤の形が2−1というイメージです。


 さて。粗削りとは言え悪くないパッケージです。それにしても,残り3ゲームの段階でやっと08スペックのプロトタイプか!という思いはありますね。


 ということで,まいど1日遅れの札幌戦(アウェイ)であります。限定的な印象にとどまりますので,短めにいこうと思います。


 では,パッケージの話を深めてみたいと思います。


 4を持ち出す狙いとしては。


 物理的なスペースを潰しにかかること,ボール奪取位置を(あくまで相対的に,ですけども)高いポイントに設定することや,アウトサイドでの厚みを増すことなどが考えられます。中盤をフラットに構える4−4−2であればサイド・ハーフとサイド・バック,4−3−3ですとウィンガーとセントラル・ハーフ,あるいはセントラル・ハーフとサイド・バックが連携しながら仕掛けの厚みを増していく,という形が見られるか,と思います。


 で,トップの4−3−3ですけれども。


 残念ながら(と言いますか,当然ながらと言いますか)コンビネーションが「初期段階」であります。ウィンガーとサイド・バックとの関係がしっかりと整理されていないから,アウトサイドでの仕掛けを分厚くする効果が存分に得られているとは言いにくい。また,守備面での安定性は落ちてしまいます。ボール奪取位置に対するイメージのすり合わせができていないのか,ボール・コントロールを失った直後のディフェンスに強度が不足しているところがあります。そのために,仕掛けを強めているタイミングでのカウンター・アタックに,対処が遅れがちになる。ディフェンスで抑え込む,という形も重要ですが,ロングレンジ・パスを繰り出される,その前段階で相手の仕掛けにディレイを掛けていかないと,「追い掛ける」守備応対になってしまう。


 いままでの「最終ラインへと追い込んでいく」守備ではなくて,中盤から積極的にボール奪取を狙う,04スペック(後期型)に近いプレッシング・フットボールを強く意識,徹底していく必要があるように思われます。そのためには,セントラル・ハーフ(敢えて,“ディフェンシブ・ハーフ”ではない表現をします)の機能が高みで安定していることが求められるはず。単純に,パスを繰り出す起点,と言うだけでは足りない。ボール奪取を最終的に狙うポイント担ってもらわないと困るし,ボール奪取が巧く仕掛けられないケースでは最終ラインがボール・ホルダーを待ち構えることができるようにコースを絞り込んでいく必要もあります。局面によっては,サイドバックのバックアップとしてライン参加することも。


 となれば,最も運動量が要求されるポイントともなります。


 チーム全体の機動性を確保するために,最も機動的でなければならないポジション。このパッケージを徹底して煮詰めるつもりならば,意識してほしいポイントだと思います。


 ・・・「勝ち点3」を奪取したゲームなのに,ちょっとリクエストが多いですけれど。


 やっと,「変化」を意識できる形が見えたように思えるのです。少なくとも,いままでのフットボール・スタイルは惰性という方向に振れてしまったように感じられます。パッケージを支えてきた選手が違うのだから,表現すべきフットボールが微調整されるのは当然なのに,その調整手続が踏まれたようには思えなかった。


 ならば,チームを活性化させるためにも「刺激」が必要なのは言うまでもありません。外的であろうと,内的であろうと。


 奇策であろうと,刺激を与える必要がある。そして,この奇策は先につながる可能性を秘めた奇策でもある。


 チームに少なからぬ刺激をもたらしたパッケージ。このことが,札幌とのアウェイ・マッチでの大きな収穫,そのひとつではなかろうか,と思うのです。