群雄割拠へのステップ(2008高校ラグビー埼玉県予選)。

“Great Upset”という言葉は使うべきではないでしょう。


 同じ高校チームです。敢えて乱暴なことを言えば,歴史が違うだけ。


 3年を経過すれば,どんな最強チームだって強制的に組み替えられてしまいます。程度問題ではあるとしても,「波」を生じるのは間違いないのです。その波が,隙につながることもある。


 その隙を的確に突けるならば。相手の「名前」に必要以上に敬意を払い,萎縮するようなことがなければ。そんな形に持ち込んだチームが,強豪校の壁を破れる。


 楕円球です。高校ラグビー埼玉県予選(準々決勝)です。


 ひとつひとつのゲームは,ゆっくりと書いていくことにして(ネタ枯れ対策とも言う)。強豪校ひしめくエリアに住んでいながら,敢えてノンシード勢や浦和に注目してきた今季ですが,その期待を裏切らないゲームが多かったですね。


 緊張感が支配したゲームもありました。イーブンの状態が崩れることなく,勝負の帰趨が抽選に委ねられます。下馬評を覆し,主導権を掌握してみせたゲームもありました。さすがに,実力あるチームです。追い込まれてなお攻撃面での圧力は凄まじいものがあり,1トライで逆転可能な得点差にまで詰められてしまいます。とは言え,追い込まれてからの集中した守備応対によって勝利を引き寄せます。前者は熊谷工と対戦した早大本庄,後者は正智深谷と戦った慶應志木です。


 ともにノンシードから勝ち上がってきたチームです。彼らの躍進は,高校ラグビーの勢力地図を変化させる,その大きなきっかけになるものと思います。


 「群雄割拠」と言い切るには,まだ時間が必要かも知れません。知れませんが,再び埼玉県勢が花園でプレゼンスを高めるためには,強豪と呼ばれるチーム,その絶対数が増えてくれるのは歓迎すべきことです。複雑な心境ではありますが,でもラグビー・フリークとして見れば期待を持たせる準々決勝だったように思います。