駒場のこと。

プロフェッショナルの舞台としては,実質的に第一線を退いていますが。


 ノン・プロフェッショナルにとって大きな意味を持つ場所。ちょっとノスタルジックな想いをのせれば,かつてプロフェッショナル・クラブにとっての「聖地」だった場所が,ノン・プロフェッショナルにとっても「聖地」と呼べる場所へ。そんな流れになってくれるといい,と思います。


 日曜日の朝刊に掲載された記事ですので,時期に遅れてはいますが読売新聞さんの記事をもとに,駒場の話などを。


 確かに,プロフェッショナル・レベルのフットボールを考えるならば,中野田と大宮公園がありますから,存在感が薄くなったとしても仕方ありません。観客収容数から考えても,中野田が名実ともに本拠地と言って差し支えありませんし。


 ですが,ノン・プロフェッショナルにとってまで無意味な競技場か,と考えると,決してそんなこともないだろうと思うのです。


 つまり,プロフェッショナル・フットボールという枠を取り外して,もともとの「さいたま市(竣工当時にさかのぼれば,浦和市)にある,多目的な陸上競技場」として見れば導かれる結論は違うかも,と思うのです。


 まず,この記事でも扱われている陸上競技です。


 高校総体の時も,高円宮杯の時も感じたことですが,駒場が色褪せて感じられます。スタンドに設置されているシートが褪色している(特に,褪色が目立ちやすいカラーを採用している)こともあるでしょうが,ラバー舗装の劣化,レーンを示す塗装の劣化も影響していたように思います。JAAFからは改修要請があったと記事にはありますが,実際には改修されておらず,結果として公認が解除されたのだとか。そのために,ここでの記録は「参考記録」にしかならないということになります。それだけでなく,さいたま市には陸上競技を実施できる競技場が少なくもあります。となれば,コスト面の問題はありますが,改修の必要性が必ずしもないとは言えないでしょう。


 また,高校ラグビーだったり,高校サッカーを考えてみます。


 まずは高校ラグビーでありますが,いままでは県北強豪校による,県北強豪校のためのトーナメントという側面がありました。そのために,高校ラグビー埼玉県予選も熊谷のセントラル開催,という状態に近かったわけです。ですが,ここ数季,浦和高校は強豪校への階段を上がってきています。そして今季,彼らはAシードに名を連ねるまでになりました。彼らだけでなく,県南エリアや県西エリアでもBシード,あるいはノン・シードでもトーナメントで存在感を強めているチームが増えてきています。パワー・バランスが変わって来つつある,という言い方もできるかも知れません。彼らに,全面天然芝のフィールドでプレーを,と思うときに,フットボールの舞台である中野田や大宮公園は難しい。ちょっとフィールドが小さくなるのですが,県南エリアにおけるラグビーの本拠地として使われてみてもいいかな,と思うのです。


 また,ノン・プロフェッショナルなフットボールです。公立校(県立高,市立校を含めて)のプレゼンスを高めていく必要もあるでしょうし,大観衆の前でプレーを,と考えるならば,中野田の第2ではちょっと荷が重くもあるはずです。そして当然,なでしこリーグ1部を主戦場としているレディース,彼女たちの本拠地でもあります。もともとサブ・グラウンドという位置付けで,観戦環境としても最低限度しか設えられていない中野田の第2、あるいは第3や第4よりも,Jリーグ規格を充足していた,またかつての第2種公認を受けていた駒場の方が観戦環境としては整っています。


 当然,トラック,ピッチの改修にはコストがかかりますから,そのコストをどのようにして回収していくか,というアイディアも同時に考える必要があるでしょう。埼玉スタジアム2002のようにスポーツ・クラブを駒場に,という考え方も含め,改修の可能性を模索してほしい,と思います。