対千葉戦(08−28A)。

高いポテンシャルを持っているのは,間違いないところでしょう。


 ですが,そのポテンシャルをスムーズに引き出せているでしょうか。ピッチで表現しなければならないパフォーマンスへと,そのポテンシャルが直結しているようには思えないところがあります。


 整理すべき要素が整理されていない。そのために,連動性が薄くなってしまう。


 ・・・シーズン終盤にするべき話ではありませんけどね。


 メンタル・タフネスを語るならば,その前に確固たるチーム・ビルディングの方向性を示すべきだし,その方向性はピッチに表現されていて当然だと思います。基盤が感じられないのに,プラスアルファに話を向けてほしくない。


 まいど1日遅れ,の千葉戦であります。


 スタンディング的には,可能性を残すポジションを辛うじて維持していますが,チーム・コンディションが低下しているタイミングであればこそ,チームが積み残し続けている課題が結果へと直結したような印象があります。


 シーズン終盤にして,チームが描くべきイメージで迷いを生じているように感じます。


 ごく大ざっぱに言うならば,トップを基準とするコンパクトなのか,それとも最終ラインを基準とするコンパクトなのか,が不明確な状態に見えます。最終ラインはリトリートのイメージで戦っている時間帯が多いように見えるし,トップは高い位置からの攻撃を意識したポジショニングを意識しているようにも感じられます。この状態でチームをコンパクトにしようと思えば,相当複雑な機能をディフェンシブ・ハーフに求めるような形です。


 チームがよって立つべき基盤が,2通りに解釈できてしまうような状態に見えます。


 この状態が立ち上がりから見えてしまえば,ラッシュをまともに受けてしまうことになります。後半,相手の仕掛けを受け止めなければならなかったのも,チームが描いているべきイメージ,そのイメージのズレを解消できないことを示しているように感じます。


 また,3を基盤としながらポジションの流動性を確保することで攻撃面を機能させていたわけですが,コンディションの影響か,縦方向での流動性が固定化されてしまう傾向が強くなっています。そのために,攻撃の形が必要以上に狭まってしまっているように受け取れました。


 それでも,1−1へとゲームを引き戻した局面のように,縦方向での流動性から相手守備ブロックを崩せてもいます。ここは,間違いなく個の持っているポテンシャルが高いことを示してもいるはずです。ただ,「組織として意図して」あの形を作り出せているか,という疑問があるわけです。


 また,あのような仕掛けイメージを「戦術」へと変化させているのか。現段階ではなくて,インターバルがあったタイミングに,戦術的な整理をしていたのかどうか。


 チームが意図する攻撃の形。


 この形が不明確ならば,ひとつひとつのプレーに対する「確信」は深まっていかないのではないか,と感じます。だからこそ,スペースを突くようなフリー・ランニングであったりスペースを狙ったパスを繰り出すという形がなかなか表現できない。


 終盤というタイミングであれば,詳細にわたる形を徹底するのは難しいはず。それでも,最低限の仕掛けイメージをすり合わせることはできるでしょう。メンタル・タフネスに言及するのであれば,最低限の基盤は徹底して整理すべきだろう,と思います。


 水曜日のゲームに向けて,残されている時間は確かに少ない。少ないけれど,整理をしなくていい,というエクスキューズにはならないはず。失った勝ち点から次につながる何物かを見つけることができなければ,同じ轍を踏みかねない。


 今節の相手から見つけられるものは,決して少なくないでしょう。ピッチの上に表現されたものもそうでしょうが,ダッグアウトの中にあるものも,相当に重い意味を持っているように,個人的には感じられます。