対京都戦(08−26)。

ボールの奪いどころが,ブレていたように感じます。


 中盤で奪うとしても,最終ラインで受け止めるとしてもボール・ホルダーに対するアプローチが中途半端な状態になってしまっているために,ボールを奪いに行くこともできない状態ですし,パス・コースを絞り込んでいくこともできなかった。仕掛ける側に,余裕を与えてしまうようなものです。


 逆に,守備応対からすれば「受け止める」応対が難しくなってしまい,追い掛けながら守備応対しなければならないことになります。


 このタイミングで,パス・コースを絞り込めていないことが影響してくる。ディフェンダーを引き付けた状態で,パスを繰り出すことが可能になってしまうわけです。


 確かに,カウンター・アタック的な仕掛けではありますが,やられてはならない時間帯に,やられてはならない形で勝ち点2を失う失点を喫する。


 確かに,ハーフタイムを折り返すまでは「勝ち点3」に近づいた。けれど,確保できたのは1にとどまる。限りなく「勝ち点0」に近い「勝ち点1」だと考えるべきではないか,と思います。


 いつものように1日遅れ,の京都戦であります。


 インターハイ高円宮杯の段階でも,相当に荒れた印象を持った駒場のピッチですが,やはり今節も相当にバンピー,しかも部分的には“ビーチ”状態になっていました。そのピッチ・コンディションに影響を受けたわけではないでしょうが,チームとしての連動性があまり感じられなかったゲームであります。


 コンディションが落ちているのは,スケジュールを思えば当然でしょう。コンディショニングにしても,100%を要求できる時間はない。このことを差し引いても,パフォーマンスが不安定な印象があります。そんな部分に絞り込んで見ていくことにします。


 ごく大ざっぱに言ってしまえば,アウトサイドとセンターのバランス。


 アウトサイドからの仕掛けは,確かに武器です。武器ですが,今節のようなパッケージでのミスマッチ(3に対する4)があると,アウトサイドでの数的同数,あるいは局面ベースでの数的優位を狙ってセンター・ハーフがサイドに流れてくることもあり得ることです。トップとの距離感を適切なものに保ちながら,センターでの仕掛けバランスを維持する。そのためには,センターへのバックアップが重要なはずです。そこで鍵を握るのは,ディフェンシブ・ハーフであり,最終ラインの上下動でありましょう。


 また,守備面においても重要なファクタです。


 しっかりとしたファースト・ディフェンスを相手ボール・ホルダーへと仕掛けていくことで高い位置でのボール奪取,少なくとも相手の仕掛けを減速させながら守備陣形を戻す時間を作り出すことが求められるはずですが,浦和のパフォーマンスが低調なときは概して,センターでのファースト・ディフェンスが外されている,あるいは相手ボール・ホルダーに対してしっかりと詰め切れていないように感じられます。


 今節も,例外ではなかったように思えます。


 だけでなく,この時期にしてチームとして持っているイメージが不明確なままでもある。


 トップを基準とするコンパクトなのか,それとも最終ラインを基盤とするのか。基盤の違いによって,プレッシングの仕掛け方も違ってくるはずです。


 チームとして,どのような時間帯にどのような攻撃,守備を仕掛けたいのか。この部分が,いまだにピッチから感じにくいところがあります。先制点を奪取された局面でも,そして後半立ち上がりの時間帯での失点も,最終的には守備ブロックが数的不利の状態に陥っているわけですが,守備ブロックが「追い掛ける守備」をせざるを得ない原因を考えるならば,守備ブロックの不安定性もあるでしょうが,同時にボールを守備ブロックへと追い込むような組織守備が機能していない,カウンター・アタックに対する意識が中盤で薄かった,ということにも行き着いてしまうように思えるのです。特に,後半立ち上がりでの失点は,相手のラッシュを真正面から受け止めてしまったと言うよりは,仕掛けを強める方向にだけ意識が傾いてしまって,カウンターへの意識が薄くなり過ぎた結果であるように映ります。


 もうひとつ,考えなければならないこと。戦術交代です。


 前半終了を意識する時間帯に,リズムを引き寄せることに成功します。トップのコンビネーション,そしてトレクワトリスタとトップとのコンビネーションは,ようやく熟成段階に入ってきた,という印象を持ちます。いささか時間がかかりすぎたのは確かですが,チームが加速をしていかなければならない時期に,トップの安定性が増してきたのはポジティブな要素だと思います。


 相手は,そのリズムを再び取り戻すべく,後半立ち上がりの段階で戦術交代を仕掛けてきます。この戦術交代も,リズムを手放さざるを得なかった要因だとは思いますが,その後の時間帯にリズムを再び引き寄せるような,「攻撃的な」戦術交代を仕掛けたか,と言えば難しいところだと感じます。


 3に対する4,ではなくて,4に4をぶつけていくことを意識したのでしょうが,守備的な安定性に意識が傾きすぎてはいなかったか,と。アウェイ・ゲームでの勝ち点1に意味を持たせるのであれば,「勝ち点3」を徹底して意識したゲーム・プランを組み立てていなければならないと思うのですが,どこか今節も欧州でのアウェイ・ゲームを見ているかのような印象にとどまってしまいました。


 同じ勝ち点でも,残念ながらアウェイ・ゲームでの意味と,今節での意味は大きく異なるように思います。