バナナ管。

私にとっては,リアルタイムで知っているサイクロンではありません。


 いまとはちょっとだけデザインが違う,でもヨシムラのロゴははっきりと確認できるプレートがサイレンサー・ボディに付いている,そんな時代が免許適齢になるか,ならないかのあたりです。



 09モデルのGSX−R(スズキ・グローバルオフィシャル(英語))であります。そのサイレンサーの話などをしてみようか,と思います。


 GSX−Rは,05モデルから「個性的な」サイレンサーを採用していました。


 ちょうど,ホンダやヤマハドゥカティに追随するかのようにアップ・スタイルのエグゾーストを使ってきた時期です。バンク角を稼ぐのであれば,確かに大きなサイレンサーをシート・カウル下部に設置することにも意味があります。エグゾーストの取り回しがどうしても複雑になってしまうV型では,明確なメリットもあります。それだけに,インラインですとデザイン面が大きかったのでしょう。
 しかし,スズキはダウン・スタイルにこだわっていました。重心位置にブレを生じるようなレイアウトはしたくなかったのでしょう。ならば,車体中心へと寄せられるだけ寄せて,なおかつ低い位置へ,という発想に至ったのでしょう。


 このサイレンサー,なかなか格好良かったのですが,2年後のモデルチェンジではツイン・サイレンサーへと変更を受けます。厳しくなっていく騒音規制,そして排ガス規制をクリアするためには,シングル・サイレンサーでは難しかったということだろうと思われます。物理的には,バンク角を確保しているデザインなのですが,スポーティな感じは薄かったかも知れません。そこで,09モデルでは流麗なデザインへと進化させます。


 で,ちょっと思い出したのが“バナナ管”というわけなのです。


 スズキとの関係が深いヨシムラ,彼らが採用していたサイレンサーの形です。ヨシムラもバンク角確保という観点から,サイレンサーをトライアングル形状に仕立てている(トライ・オーバルですね。)のですが,まだ騒音規制もそれほど厳しくなく,キャタライザーを装備していなかった頃は比較的細いサイレンサーを装備していました。
そのサイレンサーは,緩やかにカーブを描いていた,こともあるのです。ちょっと,バナナを思わせるようなアールです。そこで,“バナナ管”などという通称が生まれたようなのですが,ちょうど09モデルはそんなニックネームを思い起こすようなサイレンサーであります。


 となれば,どれだけ運動性能が高まっているか,が気になります。


 2年ごとにジャンプアップを繰り返してきたスズキですから,何らかのタマを仕込んでいるようにも思えます。やはり,スズキ・ファンとしては期待してしまうモデルです。