対川崎戦(08−18)。

ひさびさに屋号なたとえ話をマクラにします。


 たとえば,鈴鹿のようなテクニカルなレース・トラックでは当然。でも,意外にデイトナだったりシャーロットのようなオーヴァルでも大事な要素です。


 アクセル・ワークです。


 むしろ,単調に見えるオーヴァルでは,ロード・コース以上に繊細なアクセル・ワークが求められるのだとか。単純に仕掛けるためだけのアクセル・ワークではなくて,相手の仕掛けを抑え込んだり,ラインを微妙に変化させるためのアクセル・ワークなど,ギア・チェンジの必要性がほとんどないからこそ求められる場面は多いわけです。


 単純に踏みっぱなしでいいわけがなく。


 どこで抜くか,あるいは緩めるか。逆に,どこでさらに開けていくか,フラット・アウトするか。


 チームとして見えていなければ,ピッチに表現できるフットボールが想定を下回ってしまうことになります。ただ,見えていないものはほかにもあるように思えるのです。


 さて。川崎戦です。いつものように折りたたみはしますが,いつもよりは短めで。


 “3トップ”(と言いますか,1トップ2シャドーと言いますか。)の動き方が整理されていないのに,実戦に持ち込むのはどうか,と思います。


 「距離感」をどのようにイメージしているのか,見えなかったわけです。


 立ち上がりに先制点奪取を導いた,ラッシュを仕掛けた時間帯を思えば,比較的小さなトライアングルを構成する方が機能するように見えますが,動きがかぶっている時間帯があまりに多かったように思うのです。そのために,機能させられないスペースを作ってしまいました。


 これはいささかもったいない。


 ポジション・フットボールを言うならば,ポジショニング・バランスを意識した戦術的なイメージが落とし込まれていて当然だろう,と思うのですが,どうもピッチに任されてしまっているように見えます。


 また,今節はクリティカルな局面でのミスがいささか目立ちすぎました。失点へと直結したもの,あるいはギリギリの局面で失点を回避できたものを含めて,相手に鋭いカウンターを仕掛けやすい状況を自らが作り出してしまっていたように見えます。


 ・・・前半終了の段階でイーヴン。


 となれば,後半開始からの時間帯でリズムをつかんだ側に流れは傾く。その通りではあるのですが,「前掛かりになり過ぎた」時間帯を生んでしまったのもまた確かです。仕掛けたならば,その仕掛けをどういう形であるにせよ(とは言え,ボールをゴールマウスへと送り込めることこそ,理想ですが。)完結させたいところですが,今節は最終ラインが手薄なタイミングで,ロングレンジの縦に鋭い仕掛けを受けてしまった。


 かつて主戦兵器としていたカウンターに,結果として屈することになったわけです。


 ならばいま,「武器とすべき形」は何なのだろうか。


 なんとも形容しにくい「重苦しさ」は,形,約束事がこの時期にあってもなお,見えていないことにあるように思えるのです。