対大分戦(08−16A)。

戦術パッケージで「物理的に」抑えられたわけではありません。


 それだけに,問題なのです。


 同じ戦術パッケージを採用しているのならば,ある程度は拮抗していなければなりません。その拮抗状態がつくれず,チームを加速させるきっかけもつくれていない。


 これで,「勝ち点3」を奪取しようというのはゼータク過ぎる。まいど1日(以下省略),ですが,あまり言うこともありますまい,の大分戦であります。


 端的に言ってしまえば,戦術的なイメージが表現できていません。


 好意的な言い方をすれば,即興性を基盤としたコンビネーション,ということになるのでしょうが,徹底的にネガティブな言い方をすれば「チームとして共有すべき基盤」がまったく構築されていない戦い方,ということになるでしょうか。


 パスを繰り出すとしても,その先に対しての確信が得られなければ,仕掛けとしてパスが機能しません。再びパスを呼び込むような形で走り込んでくれるのか,それともスペースを切り開くようなフリーランを仕掛けるのか。たとえば,こういう部分でのイメージ,そのズレが埋め切れないから,パスを繰り出すタイミングが微妙に遅れていくし,走り込んでくれるという確信が深まらないから,どうしても大きくポジションを崩した仕掛けを作っていくことができない。


 仕掛けを加速させるためのきっかけを,「クラッチを蹴飛ばす」なんて表現しました。


 コレ,加速を引き出すギアがあることを前提とした話です。そして,チームがギアを落とすタイミングだと意識できてはじめて,仕掛けが加速できるはずです。


 でも,今節はクラッチを蹴飛ばすどころの騒ぎではありません。シッカリとギアが組まれていたのか,いささか疑問です。


 さらに。守備面では中盤の問題がもっと明確に見えてきます。


 相手をチェイスすべきタイミングで,単にボールをウォッチしている時間帯が多すぎる。ディフェンシブ・ハーフのポジションに入っているのか,それともオフェンシブな位置に入っているのか,ということではなくて,最終ラインの守備負担を軽減する(余裕を持った守備応対を作り出す)ためには相手ボール・ホルダーのプレーを規制していく必要があるはずです。


 なのに,相手ボール・ホルダーへの規制があまりに緩い。


 これでは,アウトサイドが主導権を掌握したポジションを取れるはずもないし,最終ラインとしてもコンパクトさを維持しようと思っても,「裏」を取られるリスクを背負ってしまう,という意識を排除できないはずです。となると,相手に格好のプレー・スペースを中盤と最終ラインの間に提供してしまうことになります。その気になれば,ハーフコートで仕掛け続けられるほどの,強烈なスペースを。


 ・・・指揮官は,コンパクトなフットボールを,なんてことを言っているとか。ならば,コンパクトにするための要素が決定的に欠けていることを,どう思っているのでしょうか。


 戦術面で未整理な状態で,「個」だけに過度な依存を続けている。


 これでは,フットボールになりません。戦力であるとか,ファイティング・スピリットなどという問題を持ち出すはるか前の問題として,


 「今季の浦和はどのようなフットボールを表現するのか」


という明確なイメージを持っていたでしょうか。


 主力,サテを含めて,明確なピクチャーを描けていないのであれば,シーズン折り返しにして08スペックのフットボールは,まだ形にもなっていないということになってしまうように思います。