経験を武器にするために(IRB・JWC)。

どう,この年代の強化を進めるか。


 ひとつの方向性が見えたとは言えるはずです。となれば,どのようにして継続的な強化ができるのか,JRFUのひとたちの(当然,好意的な意味での,ですが。)“ポリティクス”,その手腕が問われるものと思います。


 再び,フットボールでもラグビーフットボールの話であります。ウェールズで,IRBジュニア・ワールド・チャンピオンシップというU−20の大会が開催されました。このトーナメントに関し,出村さんがスポナビにコラムを寄稿されています。今回は,この出村さんのコラムをもとにしようと思います。


 さて,出村さんのコラムで注目したのは,

 地理的なハンディもあって、日本の場合、厳しい国際試合をなかなか経験できない点も、ユース代表強化における大きな問題として存在する。・・・中略・・・各エイジグレード同士も正代表同様、6カ国間の対抗戦を行っている。当然ながら、U20代表にも6カ国対抗はあり、世界のユースラグビーにおけるメインイベントがU20世界選手権となることがはっきりした以上、U20代表による6カ国対抗は完全に世界選手権の準備試合として使われている。


という部分です。


 このトーナメントで,日本はフランス,ウェールズにイタリアと,シックス・ネイションズを構成するチームとのリーグ戦を戦っています。どう考えても,厳しいグループに収まっていると言えるでしょう。


 ですが,イタリア戦ではリードを奪っていたのも確かなこと。そのリードを守りきれずに,逆転負けを喫しているわけですが,その要因に出村さんは「国際経験」の不足を挙げているわけです。


 この指摘,真剣に考える必要があるだろうと思っています。


 シックス・ネイションズは,若年層であっても同じ枠組みを持っているとのこと。であるならば,パシフィック・リムであったりアジア5ヶ国対抗の枠組みであっても,同じように若年層でのトーナメントを組めるように,各方面に働き掛けていく必要があるかも知れません。あるいは出村さんが提案されているように,シックス・ネイションズの開催時期に合わせるように欧州遠征を組み,実質的にシックス・ネイションズに参加しているのと同じ効果を生むなどのアイディアを具体化していく努力が求められるだろう,と思うのです。


 IRBジュニア・ワールド・チャンピオンシップで,日本代表は試合を重ねるごとに「らしさ」を表現できるようになったような印象を持ちます。もちろん,勝利を挙げることなくウェールズを去るわけにはいかない,という部分もあるでしょうが,国際試合の持っている雰囲気に慣れてきたということも言えるはずです。もっと早い段階で,国際試合の持っている緊張感などを体感できるならば,チームが最大限に能力を発揮するための時間は短くなるはずだと感じます。


 トーナメントに助走を持ち込むのではなく,しっかりとした助走をしたあとの跳躍を,トーナメント本戦のタイミングに合わせたい。そのためにどれだけのことができるのか,問われるように思うのです。