UEFAカップ準決勝のことなど。

すごく,対照的なゲームでした。


 少なくとも,第1戦は準決勝らしい緊張感に支配されているように受け取れました。その流れが第2戦にも引き継がれるのではないか,と思ったのですが,流れを引き継いだのはひとつのカードだけでした。


 欧州カップ戦に続き,UEFAカップも決勝進出クラブが確定しました。そこで今回もスポーツナビさんの記事をもとにしながら,準決勝をごくカンタンにまとめておこうと思います。


 まず,決勝戦への切符を一足先に奪ったのは,レンジャースであります。


 彼らの戦いぶりを振り返ってみると,守備的な要素を前面に押し出していたな,という印象があります。特に,対戦相手であるフィオレンティーナの本拠地,アルテミオ・フランキでの第2戦は,アイブロックスでの第1戦以上に守備的な意識を徹底していたように受け取れます。


 第1戦は彼らの本拠地で戦われるのですから,ある程度攻撃的な姿勢を見せるのではないか,と考えるのですが,実際には組織的な守備を徹底することで0−0での折り返しを狙っていたように感じます。ゲーム・スタッツを見ると,シュート数やボール支配率も対戦相手であるフィオレンティーナの方が上回っています。


 「得点を奪いに行く」ことよりも,「守備的な破綻を生じない」ことに意識を強く傾けた戦いをホームにおいても展開していたのですから,アルテミオ・フランキでも同じ戦略を採用することにはそれほどの不思議はありません。その戦略に,結果としてはまり込んだのがフィオレンティーナ,ということになるかと思います。圧倒的に攻め込みながら,組織的な守備を破ることができずにレギュラー・タイムを経過し,延長戦に突入してなおゴールマウスを揺らすことができない。ペナルティ・シュートアウトにまで持ち込まれてしまった,という時点で,ある意味でリズムがレンジャース・サイドに傾いてしまったのではないか,と思います。


 対して,もうひとつの決勝戦を争う試合は違った展開となります。


 外形だけを見れば,第1戦はともにドロー。ですが,レンジャースはスコアレス。最後に残された切符を奪取したゼニト・サンクトペテルブルクの場合は,敵地であるアリアンツ・アレーナでゴールを奪取しています。相手に対して,プレッシャーを掛け与えるという意味において,大きな重みを持ったゴールだったはずですし,第2戦の戦い方にもある程度のフリー・ハンドを与えるものだったでしょう。


 そして,第2戦は彼らの本拠地である,ペテロフスキ。ここで,スポナビさんの記事にもあるように,4−0というファイナル・スコアであります。スタッツから見れば,確かにイーブン,あるいはちょっとバイエルンが押しているかのようにも感じられますが,立ち上がりの時間帯に先制点を奪取されてから,終始ゼニトのリズムに乗せられ続けたと見るべきだろう,と思います。


 これで,マンチェスターへ駒を進められるのはゼニト,そしてレンジャースということになりました。


 ・・・思うに,ですが,欧州カップ戦(CL)とUEFAカップで開催地を入れ替えてほしい,などとマンチェスター・ユナイテッドを追い掛けているひと,あるいはゼニトを追い掛けているひとは多いでしょうね。