対京都戦(08−08A)。

「時間」が必要,ということでしょうね。


 戦術的な要素を熟成させる,という意味での時間も必要ならば,オン・ザ・ピッチでの連動性がまだ確保されていなくて,判断や確認に要する時間が必要であるように見えます。


 まいど1日遅れ,の京都戦であります。限定的な印象にとどまっておりますので,ごく大ざっぱに。


 選手ひとりひとりのポテンシャルを思えば,後半の破壊力は表現できるはずです。ただ,そのポテンシャルを安定して表現できる基盤が,まだ確定できていないように感じられます。


 攻撃面を意識して,中盤を構成していることは理解できるところです。また,いい形でボールを収めることができるならば,後半のようにしっかりとした攻撃を仕掛けることも可能です。


 ですが,攻撃を仕掛ける前段階に何があるのか,と考えれば,どうしてもまだ不安定性を感じざるを得ません。いい形でボールを奪えれば,リズムを奪うこともできると思うのですが,まだボールをどのようにして奪っていくか,どの位置でボールを奪っていくかという部分の共通理解が深まっていないように見えます。


 ボールを奪うポイントが不明確だから,攻撃を仕掛けていくポイントも上下動してしまう。そのために,意識が守備方向に引っ張られるのか,あるいは積極的な攻撃参加を仕掛けるだけの確信が深まっていないのか,中盤の機能性が2008スペックとして要求される水準にまで上がっていかないような印象です。2006シーズンだったり,2007シーズンでの守備イメージからなかなか離れられていない,とも感じます。


 攻撃力を思えばディフェンシブ・ハーフのポジションに上げるのも頷ける部分があるし,攻撃の起点として位置付ける,という方向性もアリだろう,とは思います。ただ,ボールを奪う起点か,と言えば返答が微妙なものになってしまうようにも感じます。豊富な運動量を基盤に,積極的にボール・ホルダーに対してプレッシャーを掛けボールを奪いに行く,あるいはボールを奪ったあとにディレイを織り込みながら周囲の攻撃参加を促していく,というような動きの部分では,やはりバックアップを必要とするな,と感じます。シッカリと追い込まれたあとのボールを抑え込み,じっくりとビルドアップする,というタイミングを持っているように感じられるので,そのタイミングが生かせないと,なかなか攻撃が構築できないようにも見えるのです。


 恐らく,中盤の機能性を引き上げるにあたって,クリアすべき課題はこの部分でしょう。少なくとも,ボールを奪う位置を上げているのと同じ効果を生まないことには,攻撃を浦和のスタイルに持ち込むことは難しいかも知れません。


 2006シーズンや2007シーズンでの中盤の機能性,それ以上のハードワークをこなさないことには,ボールを意図する形で奪えず,リズムを奪われながら立ち上がりの時間帯などをプレーしなければならないことになる。先制点を奪取されながら,反発力を発揮するという形が今季は少なからずありますが,もともと浦和は先制点奪取によってリズムをつかむ方向性を持っています。先制点を奪えない焦りが,チームにネガティブな循環を生まないとも限らない。


 確かに「勝ち点3」を奪取したことは大きな収穫だと思うけれど,攻撃面でのリズムを生むためには,いい形で相手からボールを奪いたいし,ボールを奪ってからの攻撃にも組織を感じる局面を増やしていきたい。シーズン序盤であればこそ,徹底的に組織性を高める方向性を求めたいところです。