“Non-Flying Dutchman”、コーチへ。

ちょっと気が早いのですが,どんなコーチになるでしょう。


 もちろん,自らがイメージする戦術もあると思います。ただ同時に,自分が経験してきた戦術のエッセンスも感じられると思うのです。とするならば差し詰め,“ダッチ・フレンチ”ということになるのでしょうか。


 ちょっと軽めに,S級コーチを目指すベルカンプ、アヤックスでの実地研修に誘われる(スポーツナビ)という記事をもとに。


 デニス・ベルカンプさん。


 ガンナーズの本拠地がハイブリーからアシュバートン・グローブへと変化するのとほぼ同時に,キャリアを終えた,“ハイブリー時代の最後を飾る名選手”という印象を持っています。でありますれば,アヤックス・アムステルダムでのイメージよりも,ガンナーズでのイメージの方が強い選手だと,感じてしまいます。


 もちろん,アヤックス・アムステルダム在籍時にも,UEFAカップを筆頭としてタイトルを奪取していますし,トップ・スコアラーにもなっているのですが,アヤックスが欧州でのプレゼンスを強めるのは,もうちょっとあとのことですね。


 対して,ガンナーズとの関係はほぼ,現任指揮官であるアーセンのガンナーズでのキャリアと重なります。イングランドで最も安定した成績を収めていながら,プレゼンスが薄くなりかけていたときに招聘された指揮官が,グランパスを率いていたアーセンです。それまでのガンナーズは,“Boring Arsenal”などと揶揄されていました。安定している,ということは手堅いという意味にも解することができますが,反転させれば,確かに「退屈」という言い方もできます。


 守備的な安定性,という基盤には極力変更を加えず,攻撃性にプライマリー・バランスを振り向ける。アーセンに託されたスタイル変更に,ベルカンプさんの果たした役割は大きいと思うのです。であるならば,アーセンの影響を受けていると考えるのも,それほど不思議なことではないはずです。


 アヤックスではヨハン・クライフさんの影響を受け,ガンナーズではアーセンの影響を受ける。恐らく,彼らのエッセンスがどこかに見えてくるはずです。


 そうは言っても,そんな想像はまだ気が早く。


 コーチング・ライセンス取得に際し,実地研修(中田さんによれば,“スタージュ”と言うそうです。)を受ける必要のあるベルカンプさんを,マルコ・ファン・バステンさん(アヤックス次期監督)がアヤックスへと誘った,という段階です。また,中田さんのリポートによれば,アーセンも受け入れる用意があるとか。


 どちらが受け入れ先になるかはともかく,ドラガン・ストイコビッチさんのように,「かつて薫陶を受けた指揮官の影響をどこかに感じさせるフットボール・コーチ」が近い将来誕生するのは間違いなさそうです。