パッケージのリンケージ。

どの時間帯を意識したパッケージなのでしょうか。


 磐田戦を思えば,あり得ない話でもないですね。


 とは言え,キックオフ直後の時間帯だとすれば,確かにサプライズの要素は強いです。ただ,単純にサプライズだと言い切っていいものか,と思うところもあります。


 スポニチさんをはじめとして,各スポーツ・メディアで扱われている布陣の話,であります。


 端的に言ってしまえば,攻撃ユニット,特に前線の変更です。ここ数節,ディフェンシブ・ハーフの位置で「縦」方向での流動性を生み出すことで,「勝ち点3」奪取に貢献してきたわけですが,そのタレントを前線に引き上げてきた,ということなのであります。


 持っている攻撃力を思えば,どうしても発想の原点を攻撃力に求めたくなるところです。ですが,単純に攻撃力だけを意識していたのではないだろう,と思うのです。時間帯限定の攻撃的なシフト,というわけではないようです。


 「距離感を大事に幅広く」。


 となると,前線に3人の選手を配すると言っても,1トップ2シャドーのような形ではなさそうです。むしろ,ゲルトさんが“サッカー・マガジン”のインタビューで答えていた,ルイス・ファン・ハール時代のアヤックス・アムステルダム,その主戦パッケージをイメージした方が近道でしょうか。


 つまり,ウィンガーを活用する戦術パッケージであります。


 であるならば,2トップの時のアウトサイドとは,微妙に意味合いが違ってくることになります。アウトサイドで仕掛けていくのはウィンガーが主力となり,アウトサイド(と言いますか,サイド・ハーフと言いますか)はウィンガーとの関係性の中で攻撃を組み立てていく。つまりは,サイドアタックの主力をより高く,より左右方向に広く設定しようと考えているのかな,と。


 起点を引き上げながら,さらにパス・コースの基盤となる関係性(いわゆる,トライアングル)を増やしていく,という意図が隠されているのだとすれば,奇策であるように見えて,やっぱりロジカルなものだったりもするのかな,と思います。


 さらに言えば,センターに位置するFWと,オフェンシブ・ハーフとの関係性を強く意識した,とも言えるでしょう。ウィンガーがセンターに絞ることなく,できるだけセンターにスペースを作り出すようなフリー・ランニングを仕掛ければ,センターにはスペースの生じる可能性がある。そこに積極的に飛び込んでいけるタレント,そのパフォーマンスを最大限に引き出していこうという意図もあるのかも知れません。


 ともかく。いろいろな想像が働くお話ではあります。