81年ぶりの決勝戦。

フットボール,と言うよりもラグビーフットボールなところですね。


 たとえば,中央駅から歩いて数分の距離にある,ミレニアム・スタジアム


 この競技場,ウェンブリー競技場が新装中にはFAカップ決勝の舞台として使われていましたが,実際にはラグビーフットボールを念頭に置いた競技場です。RWCのベニューとしても使われていましたですね。この競技場を本拠地とするラグビーウェールズ代表(レッド・ドラゴン)は今季のシックス・ネイションズを5戦全勝で制しましたが,それはまた別の話。


 アソシエーション・フットボール,の話でありまして。


 この話の主役は,そんな“ラグビー・タウン”を本拠とするカーディフ・シティFC。かつて,稲本選手がローンで在籍したクラブでもあります。


 カーディフが81年ぶり決勝進出=決勝でポーツマスと対戦という,スポナビさんに配信されている記事をもとに。


 アウトサイダーから言わせれば,いささか地味な2007〜08シーズンのFAカップであります。


 準決勝の段階にして,プレミアシップを主戦場とするクラブは,決勝進出を決めたポーツマスだけ。あとはディビジョン2に相当するリーグ・チャンピオンシップ勢のクラブだけ。さらに言えば,カーディフ・シティFCの対戦相手は,バーンズリー。下部リーグのクラブ同士が対戦するわけですから,アウトサイドからは「地味」という評価も仕方ないかも知れません。


 知れませんが,これほど面白いカップ戦もないだろうな,と実感します。


 ESPNサッカーネットさんのマッチ・リポート(英語)を斜め読みする限りでも,真っ向勝負のいいゲームだったことが伝わりますし,スタッツもある側面ではまったくの50/50の試合だったことを示しています。


 クラブとしての総合力を厳しく問うのがリーグ戦だとすれば,トーナメントを駆け上がっていくための加速態勢を維持できるかどうか,そして頂上まで駆け抜けることができるかどうか,が問われるのがカップ戦だと感じます。戦術的に粗削りだったとしても,また戦力的な不安があるとしても,チームが加速態勢を作り上げられれば,トーナメントを駆け上がっていける,かも知れない。さらに,ラウンド終了ごとにカップタイ・ドローが実施されるために,強豪クラブ同士の潰し合いが早い段階で行われたり,その逆が成立したりする。


 そして,「可能性」が「現実」に変わったわけです。


 バーンズリーを下したカーディフ・シティは,1926〜27シーズン以来81年ぶりに決勝の舞台へと駒を進めることになり,(もちろん,純然たる仮定論ですが)カップを掲げるとするならば,同じく81年ぶりのことになります。


 1926〜27シーズンから更新されていない,“Club Honour”というチャプターにFAカップのクレジットを再び刻めるか,それとも“Last Loser”となるか,ということも気になりますが,このような話が現実になるからこそ,カップ戦というのはリーグ戦とは違う魅力があるな,と思うのです。