対磐田戦(08−05A)。

反発力の大きさは,この連戦を特徴付けるものでしょう。


 ですが,反発の必要があるということは問題です。


 大ざっぱに言ってしまえば,立ち上がり,主導権を掌握するために守備面にウェイトを置いて戦うのか,それとも攻撃面に意識を強く振り向けるのか,という部分でまだ微妙なズレがあるのかも知れません。距離感に問題を抱えているとすれば,戦い方のイメージ,その細部がまだすり合わせしきれていない,ということになるでしょうか。


 チームとして,どのように攻撃を組み立てるか,という部分は整備されつつあります。むしろ,立ち上がりのゲーム・マネージメントが連戦で提示された課題でしょうね。


 磐田戦であります。引き続き,短めの方向で。


 前節において「勝ち点3」を奪取したパッケージ,その後半を基盤にしながらさらにモディファイを仕掛けてきたのが今節,という印象であります。恐らくは,立ち上がりから(あくまで相対的に,という意味ですが)攻撃面に意識を強く傾けていこう,という戦術イメージを持っていたのでしょうが,攻撃的な部分を支える守備意識に影響を与えてしまったかも知れない,と感じます。


 前節において,仕掛けを強めるためのパッケージを立ち上がりから使ってきたのですから,どのようにして主導権を引き戻しにかかるのか,と思えば,「奇策」的なシステム変更を仕掛けてきました。


 一面だけを見れば,ディフェンシブ・ハーフのコンビネーションを変更したとき以上に「奇策」の印象を与えるものです。ただ同時に,「守備的な安定性」を意識しているようにも見えます。この部分を合わせて考えれば,決して“スクランブル”態勢だと単純に言えるものでもないように感じます。


 仕掛けを強めると同時に,守備ブロックとの距離感を縮めていく。むしろ,バランスを復元させる方向での正攻法な戦術交代だったようにも見えます。バランスを取り戻したことで,「縦」への流動性が取り戻せたようにも感じます。


 ・・・で,今節のパッケージでありますが。


 「縦」への加速を積極的に仕掛けたい,という意図は見えましたが,仕掛けるための「ボール奪取」という部分で確認すべき課題が残っている,ということではないか,と思います。


 たとえば,ボール奪取をどのようにチームとして仕掛けていくのか,が今節のスターターではまだ固定されていないように感じます。と言いますか,ここ数季の「慣れた」守備応対を自然と踏襲してしまっているために,かえってバランスを崩しているかも知れない,と感じるところもあります。パッケージとして,ちょっと高い位置でボールを奪いに行く形が作りやすそうなのですが,守備ブロックのイメージとしてリトリートの意識がまだ強いのかも知れません。


 基本的な方向性が,確立しつつあるのは間違いありません。


 距離感が立ち上がりにズレる,というのは恐らく,積極的に仕掛けていくという意識と,昨季までの守備応対とのバランスがまだ取り切れていないということなのかも知れないな,と感じます。


 現状の戦力パッケージに見合った守備応対の形が見えてくれば,もっと安定性が増すはず。07スペックまでの守備応対を基盤とするのか,それとも04シーズン後期の守備応対をベースにしながらモディファイを掛けるのか。あるいは,これらの中間形態に落ち着くか。少なくとも,「より攻撃的な」チーム・スタイルを支えるための守備スタイルになっていくでしょうし,戦力に見合った形で守備面が落ち着けば,08スペックの熟成度も上がっていくのではないかなと思います。