アジア5ヶ国対抗のことなど。

さすがに,“Six Nations”のようなプレステージはないけれど。


 と言いますか,トーナメントとしての位置付けは間違いなくIRBが主催する“パシフィック・ネーションズカップ”の方が上位に位置するはずだし,強化にも直結するはずだけれど。


 だからと言って,軽視できるトーナメントではないはずです。ということで,ひさびさに楕円球方面の話。


 JRFUからスコッドに関するリリースが発表された,アジア5ヶ国対抗であります。


 まずは,スコッドの話からしましょうか。


 選出されたのは,総勢30名。ポジションでのバランスで言うと,FWが17名でBKが13名であります。ちょっと意外な印象を受けたのは,サンゴリアスからBKが比較的多く選出されていて,逆にワイルドナイツはFWでの選出が相対的に多い。チームとしてのストロング・ポイントを考えると,実際には逆ではなかろうか,と思ったりするのです。


 ただ,コリニアシ選手の初キャップは納得ですね。


 ラグビー日本選手権,決勝戦でも見せ付けたように,個の破壊力は高いものを持っています。組織性を高めていくことも大事な要素ですが,同時に明確なスペシャリティを持っている選手も必要なのは間違いないところです。組織性によって,個を生かす。JKのコンセプトはどこか,イビツァさんと相似形を描くように思うのですが,スペシャリティを組織に落とし込み,巧みに使いこなせるようになれば,チームのパフォーマンスを引き上げていくことができるはず。どう,化学変化が起きるのか,ちょっと楽しみです。


 さて,このトーナメントですが。


 日本が参加するのは,“TOP 5”と呼ばれる最上位ディビジョンです。このディビジョンはほかに香港,韓国,カザフスタンアラビアンガルフが参加していて,これらのチームがラウンドロビン(ということは,4ゲーム)を戦う形式になっています。ここで特徴的なのは,カードを問うことなくホーム・ゲームが2試合,アウェイ・ゲームが2試合組まれることです。本家“Six Nations (かつては同じように“Five Nations”でした。)“と同じ形式です。最初にも書きましたが,さすがにプレステージ面ではかなり見劣りするトーナメント,とは言えます。リアリスティックなことを言ってしまえば,パシフィック・ネーションズカップに向けた調整という意味合いを強く持ったトーナメントに見えます。


 ですが,ここでの失敗は許されないというトーナメントでもあるはずです。RWCを現実的な目標として捉えているチームが,アジア予選突破を目標とするチームに負けるようなことがあってはならない。しっかりとした調整とともに,アジアでのプレゼンスを明確に示す必要があるトーナメント,でしょう。ある意味,2008バージョンのジャパン,その完成度を測る好機でしょうね。