ブラックキャブ、なイエローキャブ。

確かに“エレガント”ではないかも知れません。


 シボレーならばカプリスだったり,フォードで考えるならばクラウン・ビクトリア。カプリスやクラウン・ビックスのシルエットが,町の風景として溶け込んでいるし,セダン・ボディゆえのエレガントさを持っているように思うのです。かつてはホンダ・オデッセイが車両認定を当局から受けたりもしましたが,タクシーとしての認知度が最も高いのはやはり,伝統的なFRセダンであるように感じます。


 ですが,落ち着いた色合いに塗ってみると,違った印象も出てくるのではないか,と感じます。どこか,大西洋を挟んだ反対側のタクシーにも似た印象がありそうですしね。


 ということで,今回はフットボールを離れてクルマの話など。





 フォードがNYショーで提案したタクシー・コンセプトについて,書いていこうと思います。


 早速ですがこのタクシー・コンセプト,個人的には可能性を感じます。


 ベース車両は欧州市場に投入されているコマーシャル・バンである,“トランジット”であります。そのコマーシャル・バンが持っているユーティリティ性を,タクシーとしての居住空間へと転用して,さらにハイテクを落とし込みながら提案したのが,このコンセプトであります。


 さて。このタクシーが活躍することになる(であろう)舞台,ニューヨークは世界的な観光地でもあり,多くの観光客を迎え入れる街でもあります。そんな観光客にとって,「絶好のアシ」になってくれる可能性が高いのでは?と思うのです。


 そんな存在,すでにUKには存在しています。“ブラックキャブ”です。


 ブラックキャブはいささか基本設計が古いので,トラックのようなライドが印象的ではあります。ホイールを見れば,トラックそのものですしね。ただ,車内空間はかなり広く取られています。収納式の座席を利用すれば,ちょっとしたミニバン並みの人数(車体後部には,法律上どれだけの乗客が利用できるか,示されています)が同時に移動することもでき,少人数ならば手荷物とともに移動することも可能です。


 ごくカンタンに言ってしまえば,融通が利くわけです。セダン・ベースのタクシーは,確かに格好良さはあるけれど,大人数での移動には窮屈さが否めないし,大きな荷物を持っている時には意外と不便でもあります。そんな部分を,ブラックキャブのような形のタクシーはシッカリとカバーしてくれるはずです。東京などでも,一部のタクシー事業者がミニバンをタクシーへと転用しております(した)が,実際に乗ってみた印象からすればロンドン・タクシーほどに車内空間が広くなかったような記憶があります。むしろ,ロンドン・タクシーやこの“トランジット・コネクト・タクシーコンセプト”のようなスタイルの方が,実際的な利益がありそうではないか,と思います。