プレミア勢と欧州カップ戦。

隔世の感,とはまさにこのこと。


 このことなのですが。


 まだ,QFに残っているだけのこと。このことをもって,「独り勝ち」というのもどうかな,と。


 いよいよ,ビッグイヤーが射程に収まってきた段階にあっても,イングランド勢が複数残っていたならば,本格的にプレミアシップのプレゼンスが高まってきた,と感じられるかも知れません。イングランドびいきではありますが,ちょっと冷静に,と言いますか,割り引いて見ておきたいと思うのであります。


 ということで,今回もイングランド関係の話をプレミア独り勝ち=イングランドから初の4チーム8強−サッカー欧州CLと題された,時事さんの記事をもとに。


 最後に,QF進出を決めたのがリヴァプールであります。それまでにRof16突破を決めていたチェルシーアーセナルマンチェスター・ユナイテッドを含めて,4クラブがQFへと進出しています。


 確かに,近年にない躍進ぶりではあります。でありますれば,リヴァプールに対して「プレミアリーグ4位にとどまる」などという表現を時事さんはしています。セリエAにおいて首位に立つインテル・ミラノを下したのだから,そのような表現もおかしくはない,かも知れません。


 ですが,リヴァプールには「カップ戦巧者」の側面があるのです。また,欧州において存分に,そのプレゼンスを示してきたクラブでもあります。イングランド勢においては「経験」が最も豊かなクラブ,とも言えるはずです。


 最も端的に,このクラブの潜在能力を証明するのは“TREBLE”という実績でしょう。


 名将,ボブ・ペイズリーからチームを引き継いだジョー・フェイガンが指揮を執った1983〜84シーズン,リヴァプールスタディオ・オリンピコでPK戦を制し,UEFAチャンピオンズカップを奪取,同時に国内リーグ戦,リーグ・カップ(当時はミルク・カップ)をも制し,3冠を達成したわけです。ジェラール・ウリエがチームを率いていた2000〜2001シーズンには,“CUP TREBLE”(カップ戦3冠)を達成しています。国内カップ戦ではFAカップとリーグ・カップ(ワージントン・カップ),欧州タイトルとしてUEFAカップを陥れることに成功したわけです。


 むしろ,最もイングランドで安定した成績を誇っているガンナーズが,欧州でのプレゼンスという部分では弱さを見せていたかも知れません。最も彼らが渇望するタイトルが,欧州カップ戦ではないか,と思っています。


 ですが実際には,その意識は空回りをしていたこともあります。いまでこそ,“アシュバートン・グローブ”(エミレーツ・スタジアム)という最新鋭の本拠地を手に入れていますが,それまでは住宅街に囲まれたシューボックス,“ハイブリー”を本拠としていました。そのキャパシティの問題があってか,欧州カップ戦では改修前のウェンブリー競技場を使用するケースが多かったのです。フットボールの聖地として位置付けられるウェンブリー競技場ではあるけれど,特定のクラブの本拠地という香りはありません。実際問題として,オールド・ウェンブリーを使っていた時代のアーセナルは,欧州カップ戦でプレゼンスを示すことはできずにいたわけです。


 彼らが最も,ビッグイヤーに近づいたのは2005〜06シーズン。スタッド・ドゥ・フランスでの,バルサとの決勝戦です。ここで,彼らは“Last Loser”となります。


 ・・・必ずしも,フェイバリットとは言えないクラブではありますが,そろそろ持っているパフォーマンスを,欧州の舞台で存分に表現して欲しい(ビッグイヤーを奪取してほしい)と,思ったりします。そうなれば,時事さんの表現にも重みが出るのかも知れません。