100年ぶりの波乱(FAカップ)。

100年前は,“マグパイズ”が「最後の砦」だったそうであります。


 思えば,今季は「怪しい雲行き」ではありましたね。


 プレミアシップ勢が参戦してくる3回戦,この段階でも下部リーグを主戦場としているクラブが予想以上の善戦をしているな,という印象がありました。この勢いはQFにあっても止まるところがなかった,と。


 カップ戦には時に,サプライズが用意されていますが,ここまでのものはなかなかないのではないでしょうか。ということで,ひさびさにイングランド関連の話など。100年ぶり珍事!4強に2部3チーム(Sponichi Annex)であります。


 FAカップ準決勝に進出した4クラブのうち,3クラブまでがリーグ・チャンピオンシップ(2部リーグ)を戦うクラブで占められた,というのがこの記事の要旨であります。


 さすがにビックリさせられる話ですが,「まったくない」と言い切れない話でもあります。


 まずは,日程面のアヤを指摘するべきでしょうか。「欧州カップ戦」の存在であります。


 “スタンフォード・ブリッジ”を本拠地とするクラブは,水曜日に1回戦(Round of 16)第2戦を戦い,同じ週の土曜日にQFを戦うことになっていました。第1戦をドローで終えていましたから,本拠地で戦う第2戦の重要性はかなり高かった。となれば,チームのピークを水曜日に設定するのはごく当然でありましょう。


 そして,Rof16を制し,当初の目標を達成した。となれば,再び土曜日に向けてコンディションを上げていくのは難しい,かも知れません。「燃え尽き症候群」という指摘も,間違ってはいないように見えます。


 見えますが,QFに関してだけ言えば,“Not their day”でもあったでしょう。


 シュート数にしても,ボール支配率にしても対戦相手を上回っているのですが,結果が付いてこない。逆に,先制点(にして決勝点)を奪取される。数少ないチャンスを,対戦相手であるバーンズリーに決められてしまったわけです。


 同じように,“オールド・トラフォード”を本拠地とするクラブも,欧州カップ戦を戦った同じ週の土曜日に,FAカップを戦うことになります。ここで,FAカップの大きな特徴が,さらに絡んでくることになります。


 カップタイ・ドローが各ラウンド終了後に行われること,であります。そのために,「配慮」という要素が入り込めません。プレミアシップ勢同士による「潰し合い」の可能性があるわけです。


 マンチェスター・ユナイテッドの対戦相手はポーツマス。同じくプレミアシップを主戦場とするクラブです。彼らに対して,主導権を掌握しながら先制点を奪取できず,逆にユナイテッドは後半,交代出場したGKがPKを与えてしまいセント・オフ,このPKが決勝点となってしまいます。


 ・・・いささか,サプライズと言うには大規模ですが。歴史的なFAカップである,ということだけは間違いないかも知れません。