対横浜FM戦(08−01A)。

表面的には,フレーム・ワークの変更はなさそうです。


 実質的なシステムは,07スペック同様に3−5−2。


 ・・・ちょっと屋号的に,レーシング・バイクのような言い方をします。ですが,07スペックと同じバランスを持ったフレームというわけではありません。スイングアーム・ピボットなど,操縦性に大きく影響するポイントに変更を受けているからです。であれば,同じフレームを作ったとしても剛性バランスであったりに変化が生じているはずです。


 ならば当然,08スペックとしての調整や開発作業が求められるのですが,まだ開発の方向性が明確なものとなっていない,という印象があります。


 いつも通りに1日遅れ,でありますが。今回はマッチデイ当日に大ざっぱなエントリを書いておりますれば,このエントリを発展させる形で進めていこうか,と思います。


 端的に言えば,チームとしての熟成度が表面化してしまったゲームであったように感じます。ファイナル・スコアとしては最小得点差なのですが,実際には攻撃面での熟成度には相当の差を感じざるを得なかった。
 そして,攻撃面での機能不全が守備面にも負荷を掛けていきます。攻撃が中途半端な形で抑え込まれるために,カウンター・アタックを受けやすい状態にあった,と思います。


 このゲームにあっては,足元を狙ったパスが多過ぎました。足元を狙うならば,パスを受ける選手に対して適切な距離感を保ちながら,さらにボールを引き出す動きを仕掛ける選手がいなければならないはずです。パス・レシーバひとりが「個」の能力によって突破を図る,というよりも,縦方向の関係性を生かしながら突破を仕掛ける必要があるはずなのですが,このゲームでは縦方向の連動性からアタッキング・サードへと飛び出していく,という形がなかなか見られませんでした。


 後半,ショートハンドへと相手を追い込みながら,攻撃面が手詰まりを起こしたのも,縦方向への仕掛けが連動せず,ひとりひとりの仕掛けにとどまってしまったことが関わっているように思われるし,「仕掛ける」姿勢が「相手の動きを促す」という方向性とバランスせず,組織としての脅威になりきれなかったことが関わっているように感じるところです。


 確かに,スペースを消されたという部分もあるかも知れません。


 知れませんが,それ以上にスペースを作り出す,あるいはマンマーク・ディフェンスを仕掛ける相手守備ブロックを縦方向に揺さぶる,という方向での戦術的な意図が表現できていなかったように感じます。
それゆえに,自分たちがスペースを潰したという側面もあるように感じるわけです。


 ボールがなかなか収まらなかったために,チーム・バランスが微妙に崩れた状態で相手の攻撃を受け止めなければならない。仕掛けている状態でボール・コントロールを失っているから,ファースト・ディフェンスの掛かり方が緩く,守備ブロックへ追い込んでいくディフェンスがなかなか仕掛けられず,ボール・ホルダーを追い掛けながらポジションを修正していく,という不安定な守備応対をせざるを得ない時間帯があった。先制点(にして決勝点)を奪取された局面は,クリアミスを狙われたものではあるが,失点へと直結しなかった仕掛けにむしろ,リーグ戦立ち上がりの段階で修正を必要とする課題が見えていたように思うのです。


 ・・・直前のエントリでも,タイトルにしましたが。


 「淡泊」だったな,と思います。


 たとえば,アウトサイドを使うとしても,アウトサイドが保持しているボールを呼び込む動きがなかなか見られないから,突破が相手守備ブロックに対する脅威へとなかなか直結していかない。

 相手を横方向に引きずり出せなかったな,と思うのです。


 また,前線との連携不足によって,相手守備ブロックが前線に対して仕掛けていたマンマークを引き剥がすことがなかなかできなかった。


 ごく大ざっぱなことを言ってしまうと,「縦への鋭さを失ってしまった前後分断型フットボール」という時間帯ができてしまったな,と思います。「縦方向」での流動性,という部分での熟成不足が,攻撃面での機能不全を招いた大きな要因であるように思うのです。守備的な安定性を強く意識すれば,ディフェンシブ・ハーフと最終ラインで構成されるブロックを大きく動かしたくない,という意識が働くかも知れません。
 ですが,浦和の攻撃を機能させてきた原動力は,“リスク・マネージメント”という意識と積極的な攻撃参加の意識をバランスさせてきたこと,のはずです。彼らのバックアップがあってはじめて,攻撃の分厚さが作り出せる。また,積極的に彼らを引き出す(攻撃参加を促す)動きを前線やトレクワトリスタ,アウトサイドがしていかないと,彼らの仕掛けが連動していかない。脅威を相手に与える前に,仕掛けを分断されやすくなってしまうように感じます。


 連携不足,ということはある程度予測されていたことではあります。ありますが,浦和の攻撃を機能させていた要素までを抑え込んでいる必要性はないはずで。スポーツ・メディアでは「6週間」などというコメントが出ていましたが,「戻るべき場所」があるのだから,そこまでじっくりと調整しなくてもいいと思うところです。


 いい形で仕掛けられているからこそ,いい形で守備応対ができる。この原則に立ち戻って欲しい,と思うのです。