淡泊な仕掛け。

スロー・スタートは「伝統」とも表現すべきもの,かも知れませんが。


 また,開幕戦から100%を望むべきではないのですが。


 ちょっと,「チームとして」表現すべき攻撃が淡泊に過ぎたかな,と感じます。


 浦和の攻撃を機能させてきたのは,縦方向の流動性であるはずで。その流動性を機能させてきた主力選手が,今季は欠けています。ひとりは負傷によって戦線復帰を図っている途上,もうひとりは海外へとその活躍の舞台を変えています。


 では,彼らが作り出してきた流動性を,どのようにして現有戦力で生み出すか。


 このことが課題であったわけですけれど,開幕戦ではこの課題が積み残しであることが見えてしまった。と言いますか,実戦という高い負荷が掛かったことで,実際には積み残し状態だったことが判明したという形でしょうか。前線は大幅に戦力が切り替わっていますから,コンビネーション構築の面で発展途上にあるのはある程度織り込めるとしても,その前線に誰が積極的に絡んでいくのか,そして前線のマークを引き剥がしながら縦に飛び込んでいけるのか,という部分がちょっと不透明に過ぎたな,と。
 そのために,前線が孤立する局面が多かったし,ボールを呼び込むために前線が低い位置に下がってしまう。チーム・バランスが自陣方向に傾いてしまっているような印象がありました。


 パス・ワークが,相手守備ブロックに対する脅威となりきれていない。「縦」への変化がなかなか表現できなかったから,でしょう。


 「縦」への仕掛け。ボール・ホルダーとの適切な距離感。素速いバックアップからの飛び出し(ポジション・チェンジ)。


 ディフェンシブ・ハーフとアウトサイド,オフェンシブ・ハーフとディフェンシブ・ハーフなどの関係性が整理されてくると,前線を生かせるようになるはずだし,チームが落ち着きを取り戻すものと思っていますが,あまり「交通整理」に時間が掛かるようだと,2005シーズンのような立ち上がりになってしまう,かも知れません。