第45回ラグビー日本選手権(組み合わせ・確定版)。

実際には,レギュラー・シーズン終了時に出場枠は埋まっているわけです。


 ではあるのですが,カップタイ・ドローは行われないのであります。正式にカップタイ・ドローが確定するのは,PSGであるマイクロソフトカップ終了後であります。


 今回も,レギュラー・シーズン2位であるサンゴリアスが“Cup Winners”という称号(でも,実質的な“Champions”なのがどうも・・・。)を受けていますし,ケースによっては4位ギリギリに滑り込んだクラブが,PSGを駆け抜けることも(純然たる可能性の問題ではありますが)あり得るのです。


 となると,です。


 少なくとも,PSG優勝と,準優勝クラブが確定するまではドローができない,ということになるのです。この点を思えば,今季はシーズン2位と1位が逆転しただけですので,こちらのページ(JRFUオフィシャル)を見ても,それほど違和感を感じるトーナメント・ドローにはなっていないな,と思います。


 ということで,すべての枠が確定したラグビー日本選手権の話であります。


 なぜ,それほどの不自然さを感じなかったかと言いますと。


 レギュラー・シーズンにおける順位(トップリーグ・オフィシャル)に解答があるのですが,近鉄ライナーズが勝ち上がってきた,右側の山にはリーグ戦1位,および3位のクラブが入り,タマリバを退けた早稲田大学が入っている左側の山には,リーグ戦2位,および4位のクラブが入っているのです。


 で,2回戦であります。


 左側を見ますと,東芝ブレイブルーパス早稲田大学戦,右側には近鉄ライナーズトヨタ自動車ヴェルブリッツ戦が組まれております。


 では,1回戦を勝ち上がってきたチーム目線でプレビューしてみます。まず,早稲田大学からはじめますと。


 トップリーグ上位との距離を測る,つまりはトップリーグ上位クラブに対して,真正面から勝負を挑むことを目標に置いていたはずの早稲田にしてみれば,ブレイブルーパスは願ってもない対戦相手,ということになるでしょう。このブレイブルーパスをどのように攻略するか,でありますが。
 やはり,ボール・キャリアーに対してどれだけ鋭くファースト・ディフェンスを仕掛けていけるか,にかかっていると思います。縦を突くパワーを効果的に使うためには,相手の守備陣形に生じる隙を突く時間が必要になるはず。その時間を作り出すのが,積極的な守備にある,と思うのです。

 また,ディフェンス・ラインを揺さぶるためにもキックをどれだけ効果的に使えるか,がエリア・マネージメントと並んで重要な要素になるはずです。逆に,スクラムラインアウトなどのセットピースに持ち込まれると,ブレイブルーパスの持っている強みを真正面から受け止めなければならないかも知れません。


 次に,近鉄ライナーズであります。


 1回戦では,慶應義塾のモチベーションを「受けた」時間帯があるように思います。そのために,本来持っているはずのパフォーマンスを引き出すのに時間がかかった。
 2回戦は,言うまでもなく「格上」のクラブですから,「受ける」心配はまずない。むしろ,自分たちの持っているパフォーマンスを100%発揮することだけを意識してゲームに入っていくことが,最も重要な要素になるでしょう。ヴェルブリッツが,「受ける」構図を作り出したいわけです。

 そのうえで,でありますが。
 主戦兵器であるバツベイ選手を生かす構図にどのようにして持ち込むか,が鍵を握るでしょう。FW戦に持ち込み,フィニッシャーとしてバツベイ選手を使う,という形に持ち込むことができれば,付け入る隙を作り出すことは可能,かも知れません。


 ・・・とは書いてきましたが。


 1回戦と2回戦との間のギャップが,かなり大きいのも確かです。ごく大ざっぱな言い方をすれば,1回戦はアマチュア同士の戦いであったり,アマチュアとハイ・アマチュアとの戦いのようなものです。その構図が2回戦では,“アマチュア−プロフェッショナル”,あるいは“アマチュアセミ・プロフェッショナル”の戦いとなるように思います。「戦う姿勢」という部分で,厳然たる差を感じるのです。ならばこそ,「戦う姿勢」,メンタルという部分で戦う前から弱気を見せるべきではない。失うものがないのだから,「その先」だけを意識して100%のパフォーマンスをフィールドで表現することを意識すると,局面は違ってくるのだろう,と思うのです。


 昨季は,関東学院大学九州電力キューデン・ヴォルテクスが選手権2回戦へと駒を進めましたが,それぞれヤマハ発動機ジュビロトヨタ自動車ヴェルブリッツに敗れています。それほどに,トップリーグ上位を下すのは難しい。難しいからこそ,“アップセット”という表現が使われるのですが,それでもこの言葉が見られることを,どこかで期待したい,と思うのです。