G14とは言わないが。

クラブが有効に機能してこそ,リーグの権威を背負う代表が機能する。


 揺るがしてはならない,重要な前提条件だと思っています。


 代表チームが強くあらねばならぬ理由は,国内リーグ戦の権威を代表チームが背負うからであり,強い代表チームを維持するためには,リーグ戦を戦うクラブ・チームが強さを持っていなければならない,と思うのです。そのクラブ・チームがその戦力的なフレームを構築すべき時期に,代表チームによるトーナメントを組むこと,そしてそのトーナメントに選手を派遣することの是非そのものを考えてもいいのではないか,と思います。


 「招集減らして」オジェック監督直談判へ(nikkansports.com)であります。


 今回問題となっているトーナメントは,2月17日〜23日に中国・重慶で開催される東アジア選手権であります。その予備登録メンバーが東アジア連盟によってリリースされています。このリリースを見ると,浦和からは7選手の名前がクレジットされています。この枠が,実際のトーナメントにあっても維持される可能性があるわけです。


 この時期は,浦和に限らずどのクラブにあっても戦術的なフレームを確定させる,最も重要な時期にあたります。


 今季は2007シーズンの主戦パッケージを構成した選手が移籍,同時に新加入選手とのコンビネーションをゼロから構築する中で新たな戦術パッケージを構築する必要があるだけに,主力を構成する選手がこの時期に欠ける,というのは大きなリスク・ファクタです。


 それでも,「リーグの権威」を直接的に背負うことになる,ワールドカップ予選に臨むというならば,まだ理解もできるところです。けれど,東アジア連盟によるトーナメントが,ワールドカップ予選に並ぶほどの重みを感じることのできるトーナメントなのでしょうか。代表チームとしての「熟成」を岡田監督が意識しているのだとすれば,浦和にとっては「熟成」以前のチーム・ビルディングの重要な段階を代表チームによって阻害される,という言い方さえ成立するわけです。


 かつてのG14のように,JFAに対してプレッシャーを掛けるべき,とまでは言わないまでも,代表チームにも「優先順位」を意識した活動スケジュールを組んでほしいと思いますし,クラブ・チームとのバランス感覚を意識した調整をお願いしたいところです。FIFA,UEFAがクラブとの関係を意識しているのですから,JFAも同じ意識を共有しはじめていても,決して早すぎることはない,と思うのです。


 浦和がどう,というだけではなく,日本版G14のような存在が表面化してはじめて,クラブと代表との関係を見直すようでは,JFAはUEFAの歴史から何も学んでいない,ということになります。JFAも東アジア連盟を構成するメンバー・アソシエーションのはずですから,東アジア連盟に対して,スケジューリングなどの面でしっかりとした主張をすべきところでしょう。ワールドカップ予選へ加速態勢を整えるというならば,もっとほかの日程を考えることもできたはずです。そういう部分を含め,“ポリティクス”の手腕を見せるべきではないのか,と思いますね。