ラグビー大学選手権(2007〜08・#1)。

・・・東高西低。高校とはチカラ関係が正反対。


 もちろん,同じカテゴリのチームが対戦するわけですから,“アップセット”などという表現をするのは失礼だと思っています。とは言え,「シード順」が設定されているのも確かなのです。そのシード順を大きくひっくり返すようなゲームもあった。


 やはり,トーナメントというのは何があるか分からないものであります。ということで,今回はひさびさにラグビー大学選手権の組み合わせ/結果ページ(JRFUオフィシャル)をもとに,ラグビーなエントリであります。


 さて。シード順をひっくり返すようなゲームとは,筑波大学同志社大学戦であります。


 筑波大学は,対抗戦Aグループで5位。ただし,対戦成績だけを言えば,4勝3敗で4位に入った帝京大学と同じ成績なのであります。順位を分けた要素は直接対決でありまして,慶應義塾を下していながら,帝京には敗戦を喫していたわけです。それだけに,5位というポジションだけではちょっと筑波の実力ははかりきれないモノがある(=上位を苦しめるだけのポテンシャルを持っている)ように感じられるわけです。


 対する同志社は関西の伝統校であります。2007シーズンの戦績は,6勝1敗。関西大学Aリーグ戦の首位であります。


 アウトサイダーから見れば,同志社がゲームを組み立てられるだろうと思ってしまう状況ですが,実際には筑波が反発力を示したゲームでありました。トライ数を取り出せば,筑波,同志社ともにトライ奪取数は4で同数。ゲームを分けたのは,コンバージョンを決めた数と,ペナルティ・ゴールを決めた数であります。ゲーム立ち上がり,同志社がトライを奪取することで流れを掌握したかのように思われるのですが,筑波は失点直後にトライを奪い返し,さらにPGを決めていきます。その後,同志社に再びトライを奪われはしますが,射程圏内に同志社を収めた状態でゲームを折り返すことに成功します。


 恐らくは,この2点差という状況が筑波にとって,相当大きな要素だったのだろうと思います。積極的に仕掛ける姿勢を押し出す,いいきっかけになったと思うのです。実際,後半に仕掛けをトライへと結び付けていくのは筑波。その筑波の攻勢を受け止め,何とかして流れを引き戻そうとしていたのが,チカラ関係で言えば上位に位置するはずの同志社という形になった。ラグビーフットボールでの5点差というのは,相当な僅差と言っていいと思うのですが,前半に獲得した3点が,筑波にとってはゲームを左右する鍵だったのではないか,と思うのです。


 その筑波。近鉄花園でのQF(第2試合)では直接対決で敗れている帝京が相手です。対抗戦のイメージを引きずるか,それとも選手権初戦をいい形で突破した,というイメージを増幅させてQFに臨むか。メンタル,という部分がかなり影響しそうな感じがします。


 その他のカードもちょっと触れておきますと。


 秩父宮での第1試合は,東海大学(関東リーグ戦1位)−慶應義塾大学(対抗戦3位)。同じく第2試合は,法政大学(関東リーグ戦3位)−早稲田大学(対抗戦1位)。


 ここで触れるべきは,やはり早稲田でありましょう。大学選手権制覇,という目標を通過点と意識し,ラグビー日本選手権でどこまでトップリーグ勢を苦しめることができるか(トップリーグに参戦できるとすれば,どこまでやれるか)という部分を意識している,恐らくは「大学」の枠を飛び越えつつあるチームであります。ではありますが,大学レベルでは「受ける」可能性もゼロではない。メンタル面での隙が生じる可能性もあるだろう,と。


 そのときに,どれだけその隙を的確に法政が突けるか。また,入り方がフワッとしていたならば,その時間帯を見逃すことなく,仕掛けを強めていけるかどうか。法政にとっては,流れの見極め方も大事な要素になりそうな気がします。


 花園での第1試合は,京都産業大学関西大学Aリーグ2位)−明治大学(対抗戦2位)。

 大学選手権で唯一残った関西勢でありますから,京産大がどれだけシッカリとしたゲームが展開できるか,がやはりポイントになりましょう。


 ・・・それにしても。


 我がチームは対抗戦Aグループからいよいよ降格の憂き目に遭い,「虚心坦懐に」大学選手権を眺めるどころか,「よその祭り」と化している。いささか不愉快であります。どういうチームを目指して強化していくつもりか,そのためにどういう選手を必要とするのか,など意識すべきことは多いように思いますね。早稲田が持っている意識。その意識に追いつくことがなければ,リソースが追いつくはずもない。そう心得てほしいものです。