色彩計画。

確かに,ちょっと地味な印象はありますね。


 座席はブルー・グラデーションではあるのですが,淡いブルーのほうはちょっとグレーがかってもいる。“NISSAN STADIUM”(かつては“YOKOHAMA”)のロゴが比較的見やすい背景,という評価もできるでしょうが,もうちょっとやりようがあったかな,とは思いますね。


 ということで,今回はひさびさに杉山センセのコラム(goo スポーツ:NumberWeb)をもとに書いていこうかと思います。


 横浜国際。確かに,ピッチまでの距離は遠いですね。


 傾斜の緩さは“バリアフリー”性などを考えた結果なのでしょうが,確かにフットボール観戦という要素だけを思うと不利なものがあります。


 音響面は・・・,横浜国際に限定できた話ではないでしょうね。


 そもそもスピーカの絶対数が不足しているスタジアムも多いですし,音量勝負のスタジアムも多い。実際に使用されているスピーカがどのような性能を持っているのかは分かりませんが,チューニングが大ざっぱ(実際に座席に座って,どう聞こえているのかチェックされていない可能性も否定できない。),あるいはドンシャリ傾向を強めたいタイプのひとが調整をしている可能性もあります。


 さて。ワタシが注目したのは座席の色であります。


 杉山センセは,「暖かみに欠ける」という言い方をしています。確かに,色彩面で与える影響を思えば,寒色だけを使うのは得策ではないでしょう。
 ただ,寒かったから「暖かそうな色」が見たかったという感じもしないではない(この御仁は,個人的な事情をとぼけて普遍化する傾向があるからして)。そうではなくて,機能的な側面からグラデーション以外の方策があったのでは?と思うのです。「導線」という考え方を座席に落とし込むこともできたのではないか,というわけですね。


 実際問題として,全体案内図(日産スタジアム・オフィシャル)にはゲートごとの色分けがハッキリと明示されています。北サイドスタンドがブルー,南サイドスタンドがレッド。メインスタンドがイエローに,バックスタンドがグリーン。ホームズ・スタジアム神戸(神戸ウィング・スタジアム)で実際に採用されているアイディアですが,エリアごとに分配されたテーマ・カラーを座席色に巧く落とし込めなかったものか,と思うのです。


 といって,すぐに改修できるようなものでもないでしょう。


 たかが座席,といっても日産スタジアムのキャパシティを考えると,かなりの予算規模が必要となります。単純にコストを抑えつつカラーリングを変更するだけならば,カッティング・シートやペイントなどという方法もありますが,耐久性の問題を抱えることになる。ならば交換時期に合わせて,アクセシビリティと関連して色彩計画を意識したカラー・パターンへと変更するのも一策でしょう。


 そういう部分から思えば,杉山さんの指摘も(どうも出発点が違うような気がしてしまうけれど)決しておかしいものではない,かも知れません。