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最も過酷なホーム・アンド・アウェイ


 物理的な移動距離が,というのではなく,精神的に過酷なゲームだな,と思うのです。


 ごくカンタンに,入替戦であります。


 この入替戦,“アウェイゴール・システム”が導入されました。ホーム・ゲームだからと言って,単純に攻撃的な姿勢を貫けばいいというわけではなく,「叩き合い」を巧妙に回避しながら主導権を掌握していかなければならない。一方で,ビジター・チームはアウェイだからと言って守備的な姿勢だけを押し出していては,アウェイ・ゴールというアドバンテージを獲得することはできない。むしろ,アウェイだからこそ攻撃的な姿勢を押し出していかないと,ゲームを優位に展開していくことができなくなる。


 180分という時間枠の中でどう戦うか,というゲーム・プランがしっかりと構築されていないと,恐らくは主導権を相手に掌握されることになる。チームの方向軸がどれだけひとつに束ね上げられるか,という要素が大きく左右するように思うのです。


 このような要素を考えると,京都が第1戦で先手を打ち,局面を優位に進められるだろうことは間違いないと思うのだけれど,広島が奪ったアウェイ・ゴールが微妙に影を落としたような感じがしていたのです。


 ただ,京都は180分をひとつのゲームとして具体的にイメージしたゲーム・プランを徹底していたように思いますし,広島は愚直なまでにリーグ戦の延長線上としてこの2ゲーム(と言うか,90分ハーフの1ゲーム)を意識していたように感じられる。第2戦,ホーム・ゲームを戦う広島はアウェイ・ゴール,という隠れたアドバンテージを具体的なアドバンテージとして変化させられるチャンスが確かにあったと思うのだけれど,相手はそのチャンスを徹底して潰しにかかり,しかもチャンスを潰した直後に攻撃的な姿勢を見せ付けることで,仕掛けに対する牽制をも掛け続ける。


 実際にピッチで戦う前段階で,京都は恐らく大きな努力を払い,その結果をピッチに100%反映できるように徹底した。そして選手たちは,具体的に落とし込まれた戦術的なイメージをシッカリと表現してみせた。そして,昇格という結果を勝ち取った。


 歓喜と絶望が,モザイクのように交錯するピッチ。


 そのピッチを,TVを通して見ながら同時に考えていたことは,かつての浦和の姿だったりするのです。


 この厳しい状況に,決して戻ることがあってはならない。同時に,決して忘れることがあってはならない,原点であるようにも思うのです。