FCWC開幕戦。

・・・やはりそうきたか。


 ACL決勝を豊田スタジアムでリプレイする,と。


 となると,通算3ゲーム。同じノックアウト・スタイルのトーナメントでも,どこかリーグ戦を思わせるような,立ち上がりからの主導権争いになるかも知れませんね。


 そういう話はともかく。FCWC開幕戦であります。国立霞ヶ丘でのゲームは実質的なワイルドカードであります。当初は,「開催国枠」などという何ともはや・・・(FIFAも興行的側面を無視できなかったのでしょうな。特にFIFAマーケティング方面でしょうか。),な枠だったわけですが,見事に無効化できたので,その枠に収まるのはACLでのランナーアップ・セパハンであります。そのセパハンの相手は,オセアニア代表のワイタケレ・ユナイテッド。さすがに,オーストラリアがAFCへと転籍してしまったために,さらに小粒な印象を与えてしまうところであります。


 立ち上がりの時間帯でのラッシュは,実力差を感じるようなものであったことも確かです。


 ノックアウト・スタイルのトーナメントですから,慎重に相手の仕掛け方を見極める時間帯があるはず,と見ていたのですが,セパハン・サイドはかなり積極的にワイタケレ守備ラインを崩しにかかっていました。そして,先制点奪取はスローインをセットプレーとして活用した仕掛けからでした。左サイドからのロングスロー、そこからのリフレクトをヘッダーで押し込む。開始直後,と表現してもいい時間帯での先制点でありました。その直後,追加点を奪取するとゲームをコントロールしながら前半を折り返す。


 そして後半開始直後にも追加点を奪取し,ほぼゲームを決定付けた,ように思えたのですが。


 ワイタケレも,ちょっとタイミングとしては遅いのかも知れないけれど,その持っているポテンシャルを霞ヶ丘のピッチで表現してくれたように思います。74分のセットプレーにしても,実際にはセパハンオウンゴールなのですが,ボールへの強烈なプレッシャーは間違いなく,セパハンDFやGKに対するプレッシャーでもあったはずだし,それ以上にゴール奪取への「執念」のようなものを強く感じることのできたプレーだったように感じます。


 ここからのリズムは,ワイタケレに傾く時間帯が多くなる。ルーズボールへのアプローチであったり,ボールホルダーへの仕掛けにも力強さが見られるようになったし、仕掛けにも明確な「スタイル」を感じられる時間帯が多くなったように思います。


 恐らくは,と思っていた相手が豊田へと駒を進めた。それはそれとして,ワイタケレが示してくれたものは,フットボールという競技がすこぶるメンタルな部分を強く要求する競技であること,そして,フットボールという競技のひとつの姿である「ボールを奪い取ること」の背景には,強い意志であり,執念がなければならない,ということだったように思うし,セパハンの安定した戦いぶりよりも,彼らが示してくれたものが印象に強く残っています。


 実際には,ワイルドカードでありプレーオフかも知れません。でも,このゲームにはフットボールの持っている本質的な魅力が(時間限定的にではあるにせよ)確かにあった。そう思うのです。