長期貸与(案)。

いきなりダメ出しからはじめるのもどうか,とは思うのですが。


 イングランド型,というのは正確ではないと思われます。むしろ,“ジュゼッペ・メアッツァ型”と言いますか,イタリア型と言うべきでしょう。


 スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァ


 ACミランインテルナツィオナーレ・ミラノが本拠地としている競技場であります。スタジアムを所有するミラノ市当局とACミラン,そしてインテルとの関係を想定すれば,今回の話が具体的にイメージできるのではないか,と。確かに,ミランインテルジュゼッペ・メアッツァをミラノ市から買い取ることも視野に入れているようですが,現状ではミラノ市へ年間使用料を支払うことで本拠地としているのだそうですから。


 浦和が埼スタ50年間完全レンタルへ(nikkansports.com)という記事であります。


 “イングランド型”というと,オールド・トラフォード的に座席が赤くなるとか,「浦和仕様」のスタジアムを想定してしまいたくなりますが(と言うか,理想的にはこうあってほしいと思うところはありますが。),実際には「指定管理者制度」を進めた形を考えた方がいいように思われます。


 競技場を運営している事業主体が,地方公共団体(及び,関連団体)から,実際にスタジアムを使用する立場であるフットボール・クラブへと移行すれば,柔軟に利用予定を組み直すことができますから,過密日程を回避すべく手を打つことができる。この記事が指摘する通りですし,藤口社長もこの点を意識しての話でしょう。


 たとえば。土曜日に予定されているマッチデイを順延させて日曜日,あるいは(純然たる可能性の話として)月曜日などに変更する。プレミアシップなどでは多用されている手法ですが,この手法を導入することが可能になる,かも知れないわけですね。


 さて。この記事の中で,“ピッチ管理”という指摘がされていますが,ある意味,ファースト・チームに対する援護射撃であり,クラブにとっての隠れた「武器」になり得るかも知れません。


 最もマッチ・スケジュールに近い話をすれば,芝目のコントロールでしょうか。


 恐らく,アシュバートン・グローブだろうとオールド・トラフォードであろうと,芝目の長さはファースト・チームのプレースタイルを最も引き出しやすい長さに設定されているはずです。かつてアンフィールドを訪れたとき,スタジアム・ツアーの担当さんに芝目の長さを直接聞いてみたことがあります。何mmで調整しているのでしょうか,と。その担当さんからは,リヴァプールにとって最適な長さです,との答えはもらえたものの,当然ながら企業秘密を公開することはありませんでした。それはともかく。縦への鋭さを武器とするクラブならば,グリップを引き出しやすいピッチ・コンディションへと調整するでしょうし,パス・ワークによって相手を崩していくというフットボール・スタイルを持っているならば,そのスタイルを援護射撃するようなピッチ管理をしていくはずです。


 さらに言えば。中野田のピッチでは,意外にスリップをする選手がいます。


 対して,浦和の選手が使っているスパイクは,どちらかと言えば欧州を主戦場とする選手たちが使っているスパイクに近いように感じます。あまり具体的に書くべき話ではないかも知れませんが,すでに中野田のピッチは「浦和」を援護射撃する態勢が整っている,かも知れません。


 ファースト・チームが表現すべきフットボール・スタイル,そしてクラブそのものをバックアップする体制がさらに手厚く整備されるとなれば,かなり大きな意味を持つのではないでしょうか。