対清水戦(07−32)。
激戦直後,と表現してもいいタイミングです。
我らが指揮官は“48時間あればリカバリー可能”とコメントしていたけれど,連戦を通じて蓄積された負荷を軽減させるだけの時間があったか,という見方も同時に成立するでしょう。
しかし。今節ピッチに立った選手たちは,持っているパフォーマンスを最大限に引き出して見せた。
その結果として「勝ち点1」を積み上げた。
リーグ戦最終盤であるこの時期,相手がどのようなポジションにあるチームであっても,難しいゲームになるのは当然です。厳しいゲームの対価としては,ちょっと少ないかも知れないけれど,歩みを止めなかったのは間違いないこと。評価すべきは,勝ち点の多寡よりも,こちらにあるのではないか,と思うのです。
相変わらず,1日遅れの清水戦であります。
思えば,ウォーミング・アップの段階から主戦パッケージを使うつもりがないであろうことは,容易に想像できるところでありました。ミッドフィールドを主戦場とする選手が多く,トップで勝負する選手は考え得る限り,ひとりしかクレジットされていない。
となれば,導き出される解は,3−6−1。より正確に言うならば,3−4−3的な方向性を強く指向した3−4−2−1へと,パッケージを変更してきたわけです。となれば,攻撃面においてはトップとシャドー・ストライカーで構成される“トライアングル”の距離感と流動性が大きな意味を持つことになるはずですし,コンビネーションが変更されたディフェンシブ・ハーフがどのように攻撃面をバックアップできるか,という部分も意味を持つことになります。
さて,ゲームでありますが。
アウトサイドから攻撃のリズムを掌握する,という形が立ち上がりの時間帯から比較的強く表現されていたように思います。相手は4バックを採用していますから,静的に考えればアウトサイドが機能しにくい状況をある程度は想定しなければならないのですが,今節はアウトサイドが「先手」を取って仕掛けていったことで,サイドでの仕掛けという部分では安定していた部分が多かったように思います。
ただ,相手はセンターを強く意識していた,という側面があるようです。
積極的に仕掛けてくるアウトサイドを意識してSBがワイドに構えるというよりも,相対的に,ではありますが,SBがセンター方向へと引き絞った形で構え,シャドーの飛び出しなどの「縦方向への仕掛け」を消しにかかっていたように感じられるのです。
この,相手が描いただろう(特に守備的な部分での)ゲーム・プランにはまり込んだ部分があるように感じられます。
ただ,仕掛けの組み立て,という部分を考えれば今節のパッケージには可能性を感じもします。
ボール・ポゼッションを基盤として位置付け,パス・スピードの加速と縦へのフリー・ランを加速させていくことでフィニッシュへと持ち込んでいく,というイメージを熟成させていく,という前提があるならば,今節のパッケージはある種のヒントにはなるはず。熟成期間がほとんどなかったようですが,4を含めた将来的な進化の方向性として,織り込んでおいていいアイディアではないか,と感じます。
対して,守備面であります。
相手の攻撃は自陣深い位置からロングレンジ・パスを前線に向けて当てる,フル・カウンターを基盤としていたためか,攻撃的な部分で抑え込むべきポイントが比較的明確だったようにも感じます。深い位置での守備応対,という部分もありましたし,相手のトップがセンターへと早い段階で絞り込んでいく,と言うよりもボールをアウトサイドの裏側へと持ち出し,センターからのバックアップを待つ,という仕掛け方をしていたため,最終ラインが横方向へと引き出される時間帯があったことも確かです。それでも,ディフェンシブ・ハーフとのコンビネーションによって決定的な破綻を来たすようなことはありませんでした。
緩やかなりとも,「勝ち点」を奪取し続けるという部分ではシッカリとタスクをこなしている。いささかチームに高負荷を掛けてきたマッチ・スケジュール,その句読点とも言える今節。最初にも書きましたが,歩みを止めなかったことも評価されるべきだろう,と思うのであります。