Knocking on the Brand-new Door.

思えば,きっかけは小さなカップ


 フットボール・シーズンの終わりを告げると同時に,新たな年の幕開けを告げる日に,国立霞ヶ丘で掲げた小さなカップは,「アジア」という扉を開くための鍵となった。


 そして2006シーズン,“DOUBLE”を達成すると,今季アジアへと踏み出した。


 グループリーグから「勝ち点」を奪取していないゲームはない。「勝ち点0」を経験することなく,厳しい国際カップ戦を駆け上がってきた。理想的な勝ち上がり方。スタッツだけを見ればそんな評価もできるかも知れない。


 ただ,「記録」の裏側にあるものからは,厳しさや激しさが浮かび上がるように思う。


 「勝ち点3」を奪いきれないという印象を強くしてしまうようなゲームもあった。ノックアウト・ステージに入ると,大きな移動距離を伴ったホーム・アンド・アウェイ心理的,肉体的な負担となってチームへとのしかかる。主力を負傷で欠き,ゲームに入るためのコンディションもギリギリの状態が続いたに違いない。カップ戦としての色彩をも強く持つトーナメントだが,「総力戦」が要求されるという意味ではまさしく,シビアな戦いの続くリーグ戦に違いない。


 それでも,チームはパッケージを崩さずに,真正面から勝負を挑んでいく。


 そして,中野田のピッチで優美な曲線を持つカップを掲げる。アジアという,ひとつの高みを陥れた証であり,FCWCという「新たな高み」へと誘う扉を開く鍵でもあるカップを。


 このカップによって,“2007シーズン”というチャプター,その大きなセクションを最高の形で閉じることができた。とは言え,すべてのセクションが閉じられているわけではない。まだ陥れるべき「もうひとつの高み」が残っている。FCWCという新たな扉をノックするならば,アジア・タイトルを陥れたクラブというだけでなく,リーグを連覇したクラブという称号も奪い取って,扉の向こうへと乗り込んでいきたい。