対川崎戦(07−31A)。

リーグ戦でのポジションをさらに盤石なものとするべく,「勝ち点3」を奪いに行く。


 そんなメッセージをハッキリと打ち出すためには,主戦パッケージへの変更を最低限度にとどめるというのもひとつの方法論かも知れない,とは思います。


 実戦を通じて主力選手の間ですでに構築されている戦術的なコンビネーションや,コミュニケーションをあらためて作り上げていかなければならないリスクを思えば,不必要にパッケージを変更することはない。負傷やサスペンションによってピッチに立つことのできない選手が出たときに,必要最低限度において変更をかける。


 恐らくは,こんなロジック・フローなのでしょう。


 スターターは浦和というクラブが表現すべきフットボールにとって必要不可欠な戦力,という判断をコーチング・スタッフはしているのでしょうし,指揮官の判断は最大限に尊重されてしかるべき,とは思います。とは言えやはり,「疲労蓄積」によるコンディション悪化はチームに影響を及ぼしているところがあるかな,と感じます。


 それだけに,厳しいコンディションの中から見えてきたこと,そして「勝ち点1」を積み上げたこと(=相手から勝ち点2を奪い取ったこと)は重い意味を持っているように思います。


 ということで,ちょっと短めに川崎戦(アウェイ)であります。


 大ざっぱな印象を言えば,守備バランスがコンディションの影響によって崩れているところがあったように感じます。


 比較的高い位置から相手ボール・ホルダーへのアプローチを仕掛けていくことで,パス・コースを切っていく。この前提条件がしっかりと機能することで,最終ラインで余裕を持った守備応対が繰り返していけるはずなのですが,今節は中盤,アウトサイドを含めて相手ボール・ホルダーへのアプローチが微妙に詰め切れないような印象があったわけです。


 失点場面は,アウトサイドをかなり深い位置にまで侵入されたところからトラバース・パスを繰り出され,そのクロスをGKから見て右側に入ってきた選手に合わせられたものでした。この局面に限らず,縦方向への鋭さを背景にした仕掛けに対して,“守備ユニット”として連動して抑え込みに行くような形にはなかなかならず,ひとりひとりの選手が持っているパフォーマンスによってギリギリで相手の仕掛けを抑え込むような時間帯が多かったようにも感じます。


 ただ,それだけにチーム,そしてひとりひとりの選手が持っている“メンタル・タフネス”をピッチから実感することができたように思います。


 スケジュール的に最も厳しいタイミングで,「縦」への鋭さを持ち,攻撃的な部分でリズムを構築している難敵に当たる。そんな条件下にあって,ひとりひとりの選手が持っている方向軸にはブレがなく,「戦う姿勢」へと反映させていたことを明確に感じられたのは大きいのではないか,と。


 ゲーム立ち上がり,リズムを相手に掌握されながらも,後半には掌握されたリズムを引き戻していく。相手に傾いているものを中立に戻し,さらに自分たちの方へと引き寄せるわけですから,なかなか「チカラ」を使わないと難しい。引き寄せるべきタイミングを間違えてしまうと,引き寄せかけたものであっても相手に譲り渡してしまうこともある。チームはそんな難しいタスクをこなしていた。


 リーグ戦終盤にあって,恐らくはコンディションとして100%に近い状態でゲームへと入ることは不可能に近いでしょう。少なからず,どこかに違和感を抱えながら,それでもピッチでしっかりとしたパフォーマンスを見せていく。厳しいシーズンを戦っていく中で,チームは着実に深化を遂げている。そんな印象を持っています。