新規参入と将来構想。

ロッソさんだけが対象ならば,ギリギリ今季の枠組みが維持できるわけです。


 ごくカンタンに言ってしまえば,今季は52節で戦われているのですが,1クールにつき1ゲームのお休みが各クラブにはありますので,実際に戦うのは48試合,ということになります。なりますが,ロッソさんが参入してくると,ディビジョン2を構成するクラブが14になりますので,お休みを挟むことなくフルに52ゲームを戦う体制,ということになるわけですね。


 ちょっと過酷じゃあなかろうか,と思うのですよ。


 ということで,今回はロッソ熊本がJからヒアリング(nikkansports.com)という記事をもとに,ディビジョン2の話などを。


 と言っても,ディビジョン2のシーズン・プレビューをはじめようというのではなくて,ちょっと早めにディビジョン2の将来像を予測してみよう,というわけなのです。


 ちょっとJFLの戦績表(JFLオフィシャル)を見てみますと,首位に立っているのはJ参入を具体的な目標として据えていない佐川急便SCであります。で,今回ヒアリングを受けたロッソさんは2位に付けている,と。


 同じくJ参入を視野に収めているクラブとしては,4位のポジションにあるFC岐阜がありますが,Jリーグ参入要件に関して,クリアすべき部分がいくつかあるようですので現段階ではまだハッキリとしたことは言えないようです(確か,12月あたりに結論が出されるとか)。


 でありますれば,基本的には2008シーズンにおけるディビジョン2は14チームを基盤として考えていいと思うのです。となると,2008シーズンはチームのメインテナンスをする時間が十分に取れないままにリーグ戦を戦わざるを得なくなるかも知れません。また,Jリーグ将来構想委員会による報告書(Jリーグオフィシャル・PDFファイル)も指摘しているように,ディビジョン2を拡張している過程において15〜18クラブでは3回戦総当たり制,という実に中途半端なリーグ戦形態がすでに想定されています。


 クラブ・マネージメント(特に,フィナンシャルな部分からの安定性)を念頭に置けば,入場料収入を確保するという部分が確かに重要ですし,試合数の確保も必要だな,と思います。ただ,ゲームのクオリティという問題も同時に考えておくべきかな,と思うわけです。


 たとえば。2008シーズンが14クラブで戦われるとして,4回戦総当たりでは52ゲーム。ディビジョン1であったり,下位カテゴリであるJFLで採用されている“2回戦総当たり制”を導入したと仮定すれば,単純に50%減の26ゲームとなります。


 それだけ,集客機会を失うということを意味する,のかも知れません。


 知れませんが,ひとつひとつのゲームの重要性は相対的に増していく,とも考えられるように思うのです。「勝ち点3」の持つ意味が重くなるのは言うまでもないとして,「勝ち点1」の意味も重くなるような印象があります。つまり,“クラブ・マネージメント”にはネガティブな効果があるとしても,“チーム・マネージメント”にとってはポジティブな効果があるのではないかな,と感じるわけですね。実力あるクラブであるならば,同じ「勝ち点1」にしても勝ちきれないがための「勝ち点1」というケースもあるでしょうし,逆にまだ実力的に昇格を視野に収めきれないクラブならば,実力あるクラブから「勝ち点2」を奪い取ったという意味での「勝ち点1」の意味が大きくなるはずです。ごく大ざっぱに言えば,リーグ戦に緊張感を持ち込むことで,各クラブにあっては「戦い方」の幅を広げるきっかけになるのではないか,と思うのです。そして,ディビジョン2のクラブが戦い方の幅を持つというのは,当然ながらディビジョン1をボトミング・アップすることにもつながるはずです。


 現実面に目を向ければ,将来構想委員会が指摘するように一定以上のゲーム数を確保することが優先順位としては上位に位置するのかも知れませんが,ひとつひとつのゲームが持っている重みや緊張感を高めていく,という方向性も必要ではないでしょうか。ひとつひとつのゲームに緊張感が感じられるようになれば,結果としてゲームあたりの有料入場者数にもポジティブな効果を与えてくれるかも知れない,と思うのです。


 ちょっと理想論的,だとは思いますが,ゲームのクオリティ(“チーム”としての体力)が先にあって,はじめてクラブ財政を安定させる(=入場料収入を一定規模で安定させる,という部分での“クラブ”の体力)という目標が立つのかな,と思ったりもするのであります。