浦和対川越戦(高校ラグビー埼玉県予選QF)。

いつの間にか,ラグビー・シーズンでございます(あいさつ)。


 ちょっと埼玉県予選のトーナメント表(高体連ラグビー専門部)を見てみますと,いわゆるシード校(実力を認められているチーム)がどういう形になっているか,見えてきます。
 正智深谷深谷がAシード(3回戦から登場)というのは過去の実績などを考えてもなるほど納得(少々好意的なバイアスもかかっていますが。),な感じがしますが,今季はAシードへいよいよ名を連ねた浦和の戦いぶりを気にしておりました。


 つまり。県北の牙城を崩す最右翼として期待をかけてきたわけです。


 この部分は,2006年の同じ時期だったり,もっと前のアーカイブをひっくり返していただくと,お分かりいただけるかな,と。
 確かに住んでいるエリアから言えば,県南が実力を高めてくるのはうれしいことばかりではないのですが,埼玉県代表が選手権を奪取するためには県北だけで代表の切符を争っている状況が健全だとはどうしても思えない。もっと,競争が熾烈になっていかないと,ラグビーのレベルが上がっていかない。


 そんなタイミングに,浦和は着実に実力を上げてきた。それだけに,気にしていたわけです。


 さて。ラグビーフットボールという競技は比較的,チームの持っている実力が忠実にファイナル・スコアへと反映されやすい競技ではないか,と思っています。
 ですが同時に,“メンタル”という部分が持っている実力を不用意に抑え込んでしまうこともあり得ます。たとえ抑え込むようなことがなくとも,相手のモチベーションが上回っているとすれば「相対的に抑え込まれた」形になってしまう。いかに実力が見えやすいとは言え,ゲームが実力を単純に反映したものにはならないわけでして。


 ・・・前置きが長くて申し訳ありません。


 恐らく川越は,前半の早い段階でゲームのリズムを掌握してしまおう,ということを徹底していたのではないでしょうか。この姿勢を受け止めてしまった,ということはないと思うのですが,少なくとも浦和がリズムを崩したことは間違いない。ちょっとだけ,浦和よりも川越のほうがゲームへの入り方がアグレッシブであったということなのだろう,と思います。
 対して,浦和は川越に流れたリズムを受け止め,再び自分たちへと引き寄せるための時間が必要になってしまった。これは大きかったな,と思いますね。前半10分が経過するまでに2トライを奪われたわけですから,ゲームに対する違和感が支配してしまっても仕方ないのかも知れません。


 Aシードなのだから,実力的な部分で川越に劣る部分はない。ないはずなのに,このゲームでは立ち上がりの悪影響によって心理的な方向軸が「焦り」へと傾いてしまって,リズムをさらに悪くした。後半だけを取り出せば,浦和がAシードであることを疑うような部分はどこにもないわけですから,返す返すも立ち上がりの時間帯が“エア・ポケット”だったな,と。


 そして結果的に,立ち上がりの時間帯での「心理的な僅差」が,1トライ差という重みとしてファイナル・スコアに反映されたということになるでしょうか。


 川越は,立派なゲームを展開してくれたな,と思いますね。


 立ち上がりの重要性をしっかりと意識し,相手に自分たちのラグビーをさせず,川越のリズムへと引き込んでみせた。この部分だけでも,Bシードを超えるポテンシャルを示してくれたのではないか,と思います。
 そんな川越でありますが,SFの相手はAシードとして順当に(QFで立教新座を0に抑え込んだ)深谷であります。ハッキリ言って,難敵であります。ありますが。自分たちから勝手にリミッターをかけることなく,しっかりとQFで表現できたラグビーを押し出し,立ち上がりからのアグレッシブさを見せてほしい,と思います。