対名古屋戦(07−30)。

「現状における・・・」。ちょっと,そんなフレーズが浮かびます。


 水曜日のゲームでチームに掛かった高い負荷。


 この負荷を思えば,ほぼ同じパッケージで名古屋戦に臨んできたチームに対して,「チームの背負っている現状」という要素は,どうしても考慮すべきだろう,と。


 短期間に再び疲労を蓄積させ,精神的にもタフなゲームを乗り越えたばかりのチーム,というコンディションを冷静に思えば,なかなか自分たちのリズムに引き込めなかったとしても仕方ない部分があるし,そんな状況にあっても「勝ち点0」という状況に陥ることなく,「勝ち点1」は確保した。


 このゲームで評価すべきは,「勝ち点1」を積み上げたことで高みへとさらに近付き,同時に眼下の敵に対してさらなるプレッシャーを掛け与えられたこと,にあるように思うのです。


 ということで,名古屋戦であります。


 まず,コンディションがかなり悪化しているだろうことは,予想外の状況からも受け取れました。自陣深い位置(つまり,名古屋サイドから見たアタッキング・サード)でダイレクト・パスを回される局面が,前半の段階から見られたわけです。


 相手はシンプルに1トップへとミドルレンジ・パスやロングレンジ・パスを繰り出してきます。そして,1トップの動きに連動するように,ウィングのように大きくアウトサイドに開いたミッドフィールドやセンター・ハーフが仕掛けてくる。その動きに守備ブロックが揺さぶられる局面が多かったように感じたわけです。


 ここ数季の浦和は,守備面からゲームのリズムを構築しているような印象が強いのですが,今節にあってはその守備面が早い段階で不安定性を見せていたような印象があります。


 その反面で,攻撃ユニットは(特に前半の段階では)比較的安定していたように感じますし,左アウトサイドからの仕掛けは有効に機能していた時間帯もあったと思います。ただ,アウトサイドからの仕掛け,という部分でもうちょっとアイディアが広がってくれれば,という部分はありました。また,ボールを大きく展開する,という部分で今節はちょっと小さめのプレー・エリアになってしまったようにも感じます。そのために,センターへの意識を強めている相手守備ブロックを縦方向,あるいは横方向へとなかなか引き出せなかったような印象であります。


 となると,相手にカウンターの起点を提供してしまうことになってしまう。


 仕掛けがフィニッシュにまで直結しないことで,守備面での不安定性がなかなか解消されなくなってしまう,というような悪循環に入ってしまったようにも感じられたわけです。あえて課題を書くならば,こういうことになるでしょう。


 また端的に言ってしまえば,相手にリズムを掌握されたゲームであります。


 ただ,このゲームでの課題には明らかな「原因」があるし,ある意味では課題が出てくるのは当然だとも思うのです。本来,理想を徹底して追うのであれば,チームとしてのスタイルを表現する鍵となる最低限の選手を残し,大幅にパッケージを変更すべきタイミングでしょう。現実問題として,右アウトサイドのスターターとしてピッチに立った主将は,負傷によって前半終了を待たずにピッチを離れてもいます。恐らく,主将のように負傷までに行き着かずとも,選手の多くはフィットネスで厳しい状態にあったでしょうし,厳しいゲームをこなしてきているわけですから,メンタルもそうでしょう。水曜日に向けてピーキングしているチームが,ゲームからシッカリと回復できるような試合間隔ではないはずです。ですが,“ターンオーヴァ”という選択をすることなく,パッケージを維持した。動きが重いのも理解できる。その重さが,ミスを誘発もするに違いない。それでも,最大限のゲーム・コントロールはしてくれたのではないか,と思っています。


 相手があってのことですから,「勝ち点0」という事態も想定できるようなコンディションではありましたが,結果として「勝ち点1」を奪取した(こういう表現でもいいかも知れません)。


 今季の日程を考えれば,「多くを望むべきではないゲーム」ができてしまうのは仕方ない。そして,リーグ戦第30節という,終盤のあまり望ましくはないタイミングで「多くを望むべきではないゲーム」が訪れた,と理解すべきでしょう。その中で,高みを引き寄せ続けるためにチームがこなすべきタスクは,シッカリとこなしてくれたのではないか。そう思うのであります。